開幕戦を終えた直後、佐藤輝明は大股で階段をのぼり続けた。速足で、しかも一段飛ばし。追いすがる報道陣は皆、置いていかれないだけで精一杯である。
東京ドームで戦うビジターチームは試合終了後、三塁側ベンチ裏の出入り口から駐車場に続く回転扉付近まで、約50mの通路と40段の階段を進む。そこにはスポーツ新聞を始めとする虎番の記者たち数十人が待ち構える。選手からどのようなコメント、エピソードを引き出せるかによって、紙面のクオリティーは大きく左右される。その相手がスタープレーヤーなら、なおさら一言一句も逃すわけにはいかない。
息を切らしながら、番記者が質問を投げかける。階段をのぼり終えると、佐藤輝は懸命に食らいつく約10人の心情を察したのか、少しだけ立ち止まった。

3月27日。阪神は2026年開幕ゲームで巨人に敗れた。まさかの敗戦だったと表現しても大げさではない。エース右腕、村上頌樹の立ち上がりが誤算だった。
2年連続で開幕投手を任された村上は昨季、最多勝と最高勝率、最多奪三振のリーグ3冠に輝いた。その上、巨人戦に限れば、通算7試合に登板して4勝0敗、防御率0.54と圧倒していた。それなのに1回裏、あっという間に先頭打者アーチを運ばれ、初回だけで2失点を喫した。
タイガースは昨季、2位に13ゲーム差をつけて両リーグ史上最速優勝を果たした。絶対的主砲や主戦投手の流出が相次ぐ他球団をよそ目に、昨秋のドラフトでは3球団競合の末に超目玉の創価大・立石正広まで1位で獲得した。前年からのマイナスポイントはエースリリーバー石井大智の負傷離脱ぐらいしか見当たらない。
全ての写真を見る -11枚-プラン紹介
「雑誌+年額プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています
「雑誌+年額プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています
この連載の記事を読む
記事


