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育成するか、引き抜くか。 シート危機管理の必要性。 ~フェラーリ新ドライバーの過去~

ベルギーGPで2位に入ったフィジケラ(左)。くしくも現チームメイトとのワンツーだった

 危険と隣り合わせのスポーツだからこそ、チームは2人の正ドライバーに起こる不測の事態に備え、交代要員を抱えておく必要がある。サードドライバーあるいはテストドライバーとして、レギュラーに準じる力量を持った若い者が望ましく、将来の実戦デビューを視野に入れて“育成”していくのだ。

天才頼みで、若手育成を放棄してきたフェラーリ。

 しかし、マクラーレンがカート時代からL・ハミルトンを養成し、BMW、ルノー、トヨタなどが新人育成プログラムに取り組む一方で、名門フェラーリのチーム方針は違った。

 '99年のイギリスGPでM・シューマッハーが重傷事故に遭った際、チームは前年からテスト開発担当ドライバーをしていたL・バドエルを起用せず、浪人中のM・サロを抜擢。サロは6戦を9位、2位、12位、7位、3位、リタイアと戦績は悪くなく、この年フェラーリはM・ハッキネンにドライバーズタイトルを許したものの、コンストラクターズは4点差で競り勝っている。以来、フェラーリはバドエルのほかにM・ジェネも同じ役割で雇い入れ、シューマッハーを絶対エースに、ナンバー2には'00年に引き抜いたR・バリチェロを据え、若手育成にはまったく興味を示さずにきた。

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photograph by Hiroshi Kaneko

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