大関魁皇の初詣、その願いは自らの腰に横綱を巻くことに違いない。先場所、地元福岡のファンの大声援を後押しに、死力を尽くしてつないだ綱獲りの糸。酉年の初場所、あと一歩のところまで迫る、魁皇の再挑戦が幕を切った。
昨年を一言で表すと「朝青龍独走」の年だった。年間5場所制覇と35連勝という偉業を成し遂げ、大横綱への仲間入りを果たし、また年間獲得懸賞1073本の史上最多の記録も作った。朝青龍にとっては、まさに我が世の春。強すぎるゆえに憎まれる悪役横綱の座は、不動のものとなった。
お膳立てだけが完璧に出来上がっていく中で、肝心要の正義の味方は、またしても現れなかった。正義の味方とは、もちろん新横綱。しかも相撲が国技と名乗る以上、日本人横綱の誕生をファンが渇望するのは、当然の成り行きだ。昨年1年間の土俵を見る限り、当面の候補は魁皇一本に絞られたといっても過言ではない。持病の腰痛と闘いながら、年6場所全てで2桁勝利。秋場所では賜杯も抱いた。残念ながら先場所は星一つの差で涙を飲んだが、4敗目を防いだ渾身の粘り腰は、魁皇が本気モードに突入した証だ。初めて味わった、綱獲り最終盤の重圧に耐えきった経験は、仕切り直しの初場所で必ず活かされるだろう。
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