ミラノ・コルティナ五輪への熾烈な争いで、女子の筆頭に挙げられているのは千葉百音(20)だ。千葉は17歳だった23年春に、仙台から京都・宇治を拠点とする濱田のもとに移籍。みるみる実力をつけ、25年の世界選手権では銅メダルを獲得した。
濱田は、この2年での千葉の成長に手応えを感じている。
「千葉さんは京都に来てから、スケーティングの一歩がさらに伸びるようになったことで、滑りの質があがり、コンポーネンツ(演技構成点)が飛躍しました。このオフに、さらにスケーティングが良くなってきていると感じています」
千葉の滑りを飛躍させたのは、豊富な貸し切りの時間を生かして基礎のスケーティングに時間を費やしたことにある。 通常のリンクであれば、一般滑走の間はレジャー客で混雑する中で練習するため、リンクを大きく使ったスケーティング練習は出来ない。しかし「木下アカデミー京都アイスアリーナ」はアカデミー生だけの貸し切り枠が充実しており、スピードを出して大きく滑る練習ができるのだ。
濱田は、千葉の特性を見極めて、指導方針をこう考えた。
「彼女の良さは、パッと見たときに『滑るスケート』をすること。スピードがあると言ってもいろんな質のスピードがあり、押して滑るスピードも、エッジに乗ったときに加速するスピードもある。千葉さんはアイスダンスのように、乗っている足からスピードが出せると感じました」

ジャンパーとして名高い紀平梨花や島田麻央を育てた濱田であれば、千葉に、トリプルアクセルや4回転を身につけさせるという方向性もあった。しかし、千葉の強みを「スケーティング」であると見極め、それを磨くことを2年間継続してきた。
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