動画・音声

記事を
ブックマークする

【Podcast】「坂本さんは本当に頑張った」坂本花織銀、中井亜美銅、そしてアリサ・リュウ無欲の金…大舞台に臨んだそれぞれの心境とは?《野口美恵のミラノ現地秘話》

表彰式で笑顔を見せる坂本、リュウ、中井
 長年フィギュアスケートを取材し、選手とも信頼関係が深いライター野口美恵さんをゲストに、取材の裏話やホットなトピックをマニアックに解説してもらうポッドキャスト番組「リンクの残響」。今回はミラノ・コルティナ五輪特別編をお届けする。
 フィギュアスケート競技最後の締めくくりに行われた女子シングル。アリサ・リュウが金メダルを獲得し、日本勢は坂本花織が銀、中井亜美が銅。千葉百音は4位となった。現地で取材するライターの野口美恵さんに、試合後の選手の談話を交えつつ、試合を総括してもらった。

「終わってみれば1位から5位にアメリカと日本の選手が入り、その後ろにロシア。結果だけ見ればなるほどという感じですが、その中身は上がったり下がったりでしたね」

 今大会は、やはり引退を表明して最後の五輪に臨んだ坂本花織に大きな注目が集まった。2021-22シーズンからの世界選手権で3連覇し、日本のみならず、世界的に見ても金メダル候補。「坂本さんは本当に、本当に頑張ったと思います。大きなプレッシャーを背負っている中でほぼノーミスの演技をするのは、どれほど大変なことかと思います」と坂本選手をずっと見てきた野口さんは、彼女の心境にも思いを馳せた。

「みんなのために」が際立っていた坂本の姿勢

 今大会での坂本選手は、「みんなのために」という姿勢が特に際立っていた。団体戦での全力応援に始まり、個人競技でも応援席でエールを送る姿がたびたびカメラにも抜かれた。「それが彼女の良さだし、みんなのためにやっていました。みんながいい成績を出したのは坂本さんのおかげだと思います」

 団体戦には出場しなかった中井選手、千葉選手は後から合流かつ初めてのオリンピック。坂本選手は彼女たちに対して、持ち物リストや選手村の様子、リンクの温度などありとあらゆる情報を共有していたという。

「言ってしまえば、後輩たちもライバルなんですよ。メダル候補として競り合っているのに、その世話を全力でやるんです。本当に、人間力のすごさが圧倒的ですよね。彼女の振る舞いを見て、日々感動していました」

最後まで美しい演技で会場を魅了した坂本 ©️Asami Enomoto/JMPA
最後まで美しい演技で会場を魅了した坂本 ©️Asami Enomoto/JMPA

 SPでは2位につけ、迎えたFS。3回転フリップが詰まってしまい、コンビネーションをつけられずリピート判定で減点に。試合後は「自分でも理由がわからないです。体も動いていたし、いい緊張感でした。特に何かが悪かったところはなかったです」と話していた坂本選手。出し切れましたか? という質問には「出しきれてない」と返答。インタビュー中もずっと泣いていて、感情を整理しきれていない様子が見てとれたという。

「無欲は怖い」メダルを目指さなかったアリサ・リュウの金

 金メダルに輝いたのはアリサ・リュウ。「メダルは狙っていない」と本心から発言しており、オリンピックの舞台を楽しみ尽くしての栄冠だった。野口さんはアリサの驚くべき行動を目にしたという。

「FSの第3グループが始まる前には製氷があるため、長めのインターバルがあります。その時にアリサがリラックスした様子でアメリカのメディアのインタビューに答えている様子を見たんです。自分の滑走前ですよ。それを見た時に、ノープレッシャーで行ってしまう系なのかもと、怖さを感じましたね」

あまりに無欲。エキシビジョンのような雰囲気もあったアリサの演技©️Asami Enomoto/JMPA
あまりに無欲。エキシビジョンのような雰囲気もあったアリサの演技©️Asami Enomoto/JMPA

 イタリア開催でありながら、アメリカの選手への声援が一番大きかったというこの日の会場。まるでエキシビジョンのような盛り上がりの中で滑り切った。「無欲は怖いですね。男子のミハエル・シャイドロフ選手とは意味合いは違いますが、無欲だったという点では近いものがあると思います。そういう演技でした」

3Aにこだわった中井、僅差で涙を飲んだ千葉

 銅メダルには17歳での初出場となった中井亜美選手。SPはまさに、「楽しんでます!」という思いが全面に出た演技だった。浅田真央さんに憧れてスケートを始めたという中井選手は、トリプルアクセルへの思い、こだわりは相当なもの。SPとFSの両方でトリプルアクセルを決め、バンクーバーの浅田真央さん、北京での樋口新葉選手に続き3人目の成功となった。(注:Podcast中ではバンクーバーの浅田さん以来と話していましたが、訂正します)

SPでの満面の笑顔が印象的だった中井©️Asami Enomoto/JMPA
SPでの満面の笑顔が印象的だった中井©️Asami Enomoto/JMPA

 一方で滑り、表現力といった点ではまだまだ伸びしろがたっぷりある状態。「スピード感があるから、見ていて気持ちがいいんですよね。来年からは島田麻央さんと中井亜美さんの対決になっていきますね」

 一方、3位とは1.28点の僅差でメダルを逃した千葉選手。「ベストを尽くし、大きなミスなくやりきって出し切っていました。そこに順位がついてこなかったということを消化していく必要があるんだと思います」と野口さんは話す。

ベストを尽くしての悔しい結果となった千葉©️Asami Enomoto/JMPA
ベストを尽くしての悔しい結果となった千葉©️Asami Enomoto/JMPA

 千葉選手の滑りは本当に美しく、坂本選手とはタイプは違えど柔らかく氷の上を滑らせていけるタイプ。野口さんも「なかなかあの滑りをできる選手はいません」と評価する。中井選手が滑り終わるまで暫定3位の席に座り、中井選手の順位が出た時に泣きながらインタビューゾーンへと向かった。「この試合は4位でしたが、もう1回やったら何位になるかはわかりません。何かを変えなきゃいけないというわけではなく、『今回はこうだった』というだけなので、自分の滑りに自信を持ってやってもらえばいいと思います」

 ポッドキャストでは他にも、以下のテーマを話している。

  • コンビネーションをつけていたら…? 坂本花織の「たられば」
  • 中井亜美はまだまだトリプルアクセルを跳べる
  • 千葉百音は大技習得よりも、持っている部分を伸ばすべき?
  • 「アメリカチームのお母さん」アンバー・グレンの人柄
  • 毎日「今日のマリニン」をチェックしてます
  • ロシアのペトロシアンは実は陽キャラだった!
     

 大舞台だからこその難しさ、試合に臨むありかたも考えさせられた今回の女子シングル。今後への期待も大きく膨らんだ大会でもありました。40分たっぷり語り尽くしています。(2月20日収録)

 
©️Asami Enomoto/JMPA
©️Asami Enomoto/JMPA
 

※ポッドキャストをお聴きいただけるのはNumberPREMIER会員限定で、このページ下部でご視聴いただけます。

特製トートバッグ付き!

「雑誌+年額プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています

photograph by Asami Enomoto/JMPA

2

1

0

このシリーズの動画を見る

もっと見る
関連
記事