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「今の僕があるのは彼のおかげ」デニス・テンと羽生結弦に憧れ金メダルを掴んだシャイドロフの陰で“王者”マリニンに何が起きていたのか「やり直したいが、過去は変えられない」

イリア・マリニン / ミハイル・シャイドロフ
男子フリー、最終グループに登場した6人の精鋭たち。ミラノでの決戦は誰も予想しえなかった結末を迎えた。重圧に満ちたリンクの中で、一体何が起きていたのか。(原題:[大波乱の内幕]シャイドロフ/マリニン「銀盤に刻まれた歓喜と絶望」)

 勇者達が4年に一度、手に入れようとする黄金の輝き。近づけば近づくほど、歓喜と絶望の渦に呑み込まれ、その姿は見失われる。2月13日、男子フリーの最終グループに残った6人は、それぞれのコンパスを信じ、栄光への道を辿っていった。

 優勝候補の筆頭は、イリア・マリニン(アメリカ)。昨年12月のGPファイナルでは、史上初となる「フリーで4回転7本」を決め、遥か彼方の高みを独走していた。

 6分間練習の冒頭、名前をコールされて選手たちが登場する。マリニンは、バックフリップに入る姿勢を見せてからカメラに向かって人差し指を横に振り、会場を沸かせる。王者たる余裕を見せていた。

「結弦のあらゆる面を尊敬しています」

 最終グループが始まる時点での暫定首位は、274.90点の佐藤駿。「得点としてはメダルに届かなかった」と思い、残る6人の演技を見守っていた。まずショート6位のチャ・ジュンファン(韓国)は、4回転トウループで転倒があり273.92点で佐藤の次につけた。続いて、屈指の4回転ジャンパーであるミハイル・シャイドロフ(カザフスタン)が登場した。

「僕が目指していたのは、自分がどれだけ成長したか、そしてカザフスタンのフィギュアスケートがどれほど進化したのかを世界に見せることでした」

 その胸中には2人のアイドルがいた。一人は'18年に夭逝したカザフスタンの英雄デニス・テンである。幼少期にはテンのスケート教室に参加したこともあった。

「彼の努力と功績で、カザフスタンにも選手が成長するための基盤が築かれました。今の僕があるのは彼のおかげです」

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photograph by Asami Enomoto/JMPA / Sunao Noto/JMPA

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