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【Podcast】「基礎的な力が違いすぎる」サマーカップで鍵山優真が見せた完成度と“新しい”「トゥーランドット」とは?《ライター野口美恵の今季“男子”展望》

選曲にもこだわり、金メダルのためのプログラムを用意してきた鍵山優真
 長年フィギュアスケートを取材し、選手とも信頼関係が深いライター野口美恵さんをゲストに、取材の裏話やホットなトピックをマニアックに解説してもらうポッドキャスト番組「リンクの残響」。毎月、様々な角度からフィギュアスケートを掘り下げています。
 今回は、2025-26のオリンピックシーズンの幕開けとなるサマーカップについて。特に実力者が勢揃いした男子についての結果を深堀りし、今後の展望について語ってもらいました。

「圧巻は鍵山選手でしたね。こんなに仕上がってて…と思いました。もちろんもともとのレベルが高いのはありますし、彼からすると新しいものを加えたわけではないんです」

 サマーカップで合計289.72点を出し、231.79点で2位だった山本草太選手に50点以上の大差をつけた鍵山選手。シーズンイン初戦にして、その演技の完成度には目を見張るものがありました。

 オリンピックシーズンの今季、鍵山選手が選んだのは、ショートにスティービー・ワンダーの「I Wish」、フリーは荒川静香さんも滑ったイタリアのオペラ「トゥーランドット」。曲名を見たとき野口さんは、イタリアで開催されるオリンピックということもあり、王道で合わせてきたか、という印象だったそうです。

 それが蓋を開けてみると、今までの「トゥーランドット」の概念を変える全く新しいアレンジ。「こんなに雄大な、荘厳なトゥーランドットがあるんだと。それが鍵山選手の滑りとマッチしていると感じました」と野口さん。

 「トゥーランドット」のアレンジを担当したのは、アメリカの新進気鋭の作曲・編曲家、クリストファー・ティン。クラシック系の中にも斬新なアクセントが入って、今までにない世界を描き出しています。

「彼の場合はオリンピックに出ることではなく、金メダルが目標です。イリヤ・マリニン選手に対抗するという意味でもオペラ、クラシックを存分に活かせているプログラムだと思います」

 ショートの「I Wish」は、人気ユーチューバー「かてぃん」としても活躍するピアニストの角野隼斗さんのカバー。「気軽に滑っているように見せていますが、入っている要素はものすごく難しいものです。ジャッジの人たちはちゃんと評価してくれると思います」

 昨年はあえて苦手を取り入れたプログラムに臨んだこともあり、思うように点数は伸びなかった鍵山選手。佐藤駿選手など若手が追いついていくのか、と思わせる場面もありましたが、野口さんは「全くそんなことはなかったですね。基礎力が違いすぎます。1つ上に抜ける存在だと思います」と改めて日本の“エース”としての実力を評価しました。

 鍵山選手とともに表彰台にのぼったのは、山本草太選手と壷井達也選手。そして友野一希選手が4位でした。「3人とも選曲に作戦があるなと感じました。1曲はもっとも得意とするもので、もう1曲に何を持ってくるか…ということなんですが、みんな自分の持ち味をよくわかっているなと感じましたね」

 それぞれが勝負のシーズンに対していい滑り出しを見せる中、苦しんだ印象があったのが三浦佳生選手です。「完全にけがの影響」と野口さんは評し、彼への期待も語りました。

 ポッドキャストでは以下の話題でも盛り上がりました。

  • 「アイディアがあるのよ」カロリーナが語っていた選曲について
  • 鍵山優真が金メダルを取るための原点回帰とは
  • 山本・友野“ベテラン”2人への期待
    壷井達也の大きな伸びしろ
  • 三浦佳生の「なにくそ」魂は爆発するか?

 オリンピックに出られるのは3人だけ…世界一過酷な選考とも言われる日本フィギュア界。ここからシーズンを通してさらに進化していく選手たちに大きな期待を抱かせるシーズンの幕開けとなりました。(8月19日収録)

※ポッドキャストをお聴きいただけるのはNumberPREMIER会員限定で、このページ下部でご視聴いただけます。

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photograph by Asami Enomoto

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