「今回、『3』と聞いた時に真っ先に頭に浮かんだのが、自分の誕生日が9月3日ということです。3日はもちろん、9も3の平方根ですから(笑)。あと打ち合わせをしていて思い出したのが、今年のニューイヤー駅伝で3区を走ったなということです」
2月26日、On Flagship Store Tokyo Ginzaで開催されたトークイベントで、篠原倖太朗(富士通)は「3」について語っていた。なぜか。この日、人気シリーズ「Cloudmonster」の最新作「3」が世界に先駆けて日本で先行発売され、またそのシューズの最も際立った特徴がミッドソールに「3」層構造となったクラウドテックを採用していたためだ。

篠原は「思い出した」とサラリと語ったが、今年のニューイヤー駅伝3区での走りは鮮烈だった。実業団選手としてはルーキーイヤーであり、そしてチームが出遅れる苦しい展開の中で襷を受けたにもかかわらず、見事に42分53秒という区間新記録で走ったのだ。
「襷をもらったのが思っていたような順位じゃなかったので、ちょっとでも(順位を)前にあげようって思って走りました。5kmの通過ではかなり上半身の脱力感があったので、これは区間賞を狙えるなと思って。そこからは『区間新記録いけるかな?』っていう自分との対話でしたね」
篠原はこの新作シューズについても明晰な言葉で語ってくれた。そのコメントには過剰な専門用語も、飾り立てるような形容詞もなく、聞き手の耳にストンと入ってきた。
「クッショニングがちょうど良いですね。蹴り出すときに柔らか過ぎると足の重さにつながりますが、Cloudmonster 3ではそれがなく、蹴り出すときにちゃんと鋭さを感じる。柔らかさを感じつつ、その直後に蹴り出しの鋭さを感じるというのは、普通の靴では味わえないものだと思います」
その篠原がシューズで最も大切にしているのは「フィット感」だという。歴代のモンスターシリーズを着用してきたという篠原は、過去モデルと比較をしながら率直に語ってくれた。
「これまでは(足型が)大き目のCloudmonster 2ではなく、足にぴったりした『1』を履くことが多かったんです。でも、クッションは『2』の方が好きだったのでジレンマも感じていました。それを全て補って解決してくれたのが今回の『3』です。ゆっくり目のジョグからスピードを少し上げた時のジョグまで対応できる万能シューズで、多くのランナーが履けると思います」
篠原は1kmごとのペースで3分30秒という早めのペースから、5分というゆったりめのペースまで、すべてこの「Cloudmonster 3」で対応できてしまうと言い、「30km走もこれで全然いける」そうだ。
実際に履いて5km弱を走ってみると、その言葉通りだった。3層構造のミッドソールがテクニカルな印象を与える外見、そして「モンスター」というシリーズ名ながら、接地感も、反発も、クッション性も、すごくオーソドックスでスムーズに脚が回っていく。機能を盛り込んだ新作にありがちな違和感は全くない。もっと長い距離を走ったり、回数を重ねて行くと、ミッドソールの3層構造の独特の良さを感じるのかもしれないが、「正統」の系譜に位置するシューズというのが第一印象だ。

篠原がもうひとつ面白い感覚について語っていた。
「最近の靴、結構、機械感が強くて……。機械、メカニックというか、シューズと一体となった足としての認識じゃなくて、足と靴で分かれている感じなんです。でも今回の『Cloudmonster 3』は足と靴じゃなくて、履いた時にちゃんと足として認識できた。フィット感があるので自分の足としての感覚で履ける感じがしたんだと思います」
厚底シューズが登場してから10年弱。超軽量なミッドソールや高反発カーボンプレートなどの技術革新は、トレーニング用のシューズの進歩にも大きな役割を果たすようになっている。ただ、シューズによってはテクノロジーが過剰で、それを履くランナーの身体や感覚と乖離した印象を抱くものもある。それを「機械」というシンプルな単語で表現するのを聞いて、大きく頷いてしまった。
このポッドキャストでは、トークイベントの全容を収録。日本のトップランナーのシューズに対する鋭敏な感覚や競技に臨む思考法が詰まった15分となっている。
※ポッドキャストはNumberPREMIER会員限定で、ログインするとこのページ下部でご視聴いただけます。
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