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「相手がビビってないのがわかる」レッドソックス・吉田正尚が痛感したメジャーの凄みと見据える“完全復活”への道「イチローさんだって、ジャッジだって…」【ボストン密着記】

2026/03/07
前回大会の殊勲者はこの3年間、熾烈な戦いの場で試行錯誤を繰り返してきた。打撃の真髄を求めた過程を番記者が綴る。(原題:[ボストン密着記]吉田正尚「できることを極限まで」)

 レッドソックスとの5年9000万ドルという長期大型契約は、2026年シーズンに4年目を迎える。ボストンの熱狂的なファンとメディアの視線にさらされながら歩んできた吉田正尚にとって、この3年間は、まさに「ジェットコースター」という言葉が相応しい激動の日々だった。

 物語は、'23年3月に始まった。レッドソックス移籍1年目、本来であればキャンプ地で新しい環境に馴染み、首脳陣にアピールすべき最も重要な時期に、吉田は侍ジャパンのユニフォームに袖を通した。

 代理人のスコット・ボラス氏は当初、この決断に難色を示していた。吉田も頷く。

「1年目で大変な時期に、キャンプでチームに馴染む時間が少ない。それはそうですよね。5年契約をして、WBCで怪我でもしたら……」

 メジャー移籍が決まった直後、栗山英樹監督からの「正直な気持ちを教えてほしい」という問いに、吉田の答えは決まっていた。

「気持ちは変わっていません」

 その揺るぎない意志が、あの準決勝メキシコ戦、起死回生の同点3ランを生んだ。

「その前にチェンジアップを空振りしていたので、そこで1球見たのは大きかった。追い込まれたらポイントを近くに入れて、体を開かないように。インサイドアウト(のスイング)で、ボールの内側を叩けた。もしポイントが前だったら切れて(ファウルになって)いた」

 日本ではほとんど見たことがなかった左投手の内角へ入ってくるチェンジアップを、極限の場面で刀を抜くように仕留めた。大会記録となる13打点を挙げ、世界一に貢献した吉田をレッドソックスファンは大歓迎し、本拠地フェンウェイ・パークでは地鳴りのような「ヨシコール」で出迎えた。

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photograph by Getty Images

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