#574

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「おしゃべりは自信がないことの裏返し」イチローとアレックス・ロドリゲスが語り合ったリーダー論と野球哲学「イチは4割を打つよ」《スペシャル対談》

2025/02/26
稀代のヒットメーカーと天才的スラッガーの邂逅――若くして頂上にのぼり詰めたメジャーを代表する2人が、バッティング論から人としての成熟、リーダーシップにいたるまでを語り合った。お互い認め合うからこその本音が、ここに浮かびあがる。(初出:Number574号 イチロー×アレックス・ロドリゲス「僕たちのメジャーライフ」 NumberPLUS「イチローのすべて」にも掲載)

アレックス '99年、僕がまだマリナーズにいた時、イチが2週間だけ、アリゾナのスプリングトレーニングに来たことがあっただろう。あの時、一緒にNBAのフェニックス・サンズの試合を見に行ったよね。僕が迎えに行ったら、イチは手帳を持っていて、何かって聞いたら、「日本語と英語の辞書だよ」って言うんだ。僕はそんなものがあるなんて、知らなかったから、ビックリしたのを覚えてる。

イチロー そんなことより、その前に僕が1時間も待たされたこと、覚えてる?

アレックス そうだっけ?(笑)。でも、サンズのゲームには間に合ったよね?

イチロー そういう問題じゃない(笑)。5時の約束だったのに、アレックスが来たのは6時5分。

アレックス ごめん、ごめん。若気の至りってヤツだよ。あの頃の僕はクレイジーだった。今はもう大人だよ(笑)。イチと初めて会ったのは、'96年の日米野球だったかな。あの時、イチローのプレーを初めて見たんだ。よく覚えているよ。すごく速かった。最初に僕のところに打ったゴロがセーフになっちゃったんだ。覚えてる? ひえーっ、何だ、アイツはって感じだった。真正面に飛んできたゴロをセーフにされちゃったんだからね。

イチロー 覚えているけど、あれはギリギリでアウトになってる。

アレックス あれ、アウトだったっけ? でも『ワオッ』って感じだったのは確かだね。一度でも対戦したことのあるバッターだったらどのくらいのスピードでプレーすればいいかわかるんだけど、イチローとはその時が初めての対戦だったから“専用の時計”がセットされていなかったんだ。あの時「コイツにはもう一つ、別の時計がいるな」と思ったよ。

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photograph by Koji Asakura

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