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「野茂英雄と松井秀喜は資格を失った」米国野球殿堂で“落選”した2人が残した功績「ベテランズ委員会で選出されることはあるのか?」

2025/02/14
MLBの12シーズンで123勝109敗の成績を残した野茂英雄
イチロー以外に殿堂入り資格を得た日本人選手はどちらも選出に至らなかった。その落選理由を探りながら、数字だけでは測れない彼らのキャリアの歴史的価値を考察する。(原題:[野茂英雄と松井秀喜]“落選”した2人が残した功績)

 2024年シーズンまでに2万787人のメジャーリーガーが誕生した中で、現役10年、引退後5年以上の条件を満たした上で、殿堂入りの栄誉を手にした選手はわずか278人。全体のわずか1.3%の狭き門だ。また、昨季までにメジャーリーグに在籍した日本人選手は73人に及ぶが、野球殿堂入りの資格を有したのは、野茂英雄、松井秀喜、イチローの3人しかいない。

 野茂は'14年に資格を得たが、その際に全米野球記者協会(BBWAA)の記者が投じた票はわずか6、得票率にして1.1%だった。'18年の松井も4票、0.9%。得票率5%に満たない者は、BBWAAの記者投票による候補者から除外されるため、2人は資格を失った。

 だが、それでも彼らが残した功績は日本人として実に誇らしい。

 1995年に日本人選手のパイオニアとしてデビューした野茂は、直球とフォークボールの2つの球種でナ・リーグ最多の236三振を奪い、13勝6敗、防御率2.54の成績でドジャースの地区優勝に貢献し、新人王にも輝いた。その活躍はストライキでファン離れが深刻だったメジャーリーグを救ったと評価され、『NOMO MANIA』なる言葉も生まれた。

野茂「無理に決まってるじゃないですか」

 その彼が'08年の現役引退までに残した成績は、12シーズンで123勝109敗、防御率4.24。この間には'96年に「打者天国」と呼ばれる標高1600mのデンバーにあるクアーズ・フィールドで行われたロッキーズ戦と、レッドソックス移籍後の'01年のオリオールズ戦で2度のノーヒッターを演じ、当時史上4人目となる両リーグでの無安打無得点試合の快挙を達成。当時はBBWAAの記者たちからも殿堂入りの可能性が論じられたほどだった。

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photograph by Kazuaki Nishiyama

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