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「あの凱旋門賞みたいな印象が…」石川裕紀人が“憧れの人”ライアン・ムーアとスノーフェアリーを語る【神騎乗列伝:2011年エリザベス女王杯】
美浦の相沢郁厩舎から2014年にデビュー。柔和な笑顔が印象的な石川裕紀人は、目標とする騎手の名前を聞かれれば「ライアン・ムーア」と答えてきた。競馬学校を卒業してプロのジョッキーとなり、初勝利を挙げたのが同年の日本ダービー当日の東京競馬場。直線で追うアクション、ルーキーらしからぬ迫力で、自身もすぐにファンと競馬関係者の心をつかんだ。
「他のヨーロッパのジョッキーと比べても、乗っている格好はケタ違いにカッコいいですし、目立ちますし……。デビューした頃は彼の身体の支点がどこにあるのかを見て、近づけるように……」
馬上でライアン・ムーアが身体を揺らしながらリズムを取る姿、下半身の動かし方、ステッキを打つ腕の角度と振り方を研究した。研究を重ねて生まれた「美浦のライアン・ムーア」はデビュー2年目の有馬記念でGI初騎乗を果たし、中央競馬騎手年間ホープ賞を受賞した。
「ライアン・ムーアに似ていると言われることで、オーナーからは『じゃあ、乗せてみよう』と思われる。パフォーマンス的な意味合いにもなりました」
僕は見習いの頃から教えられたことをずっと続けているだけです。
ムーア本人は無愛想なときも、気難しいときもある。口数は少ないけれど、印象に残る言葉を何度も聞いたことがある。第1回のロンジンワールドベストジョッキーに輝いたとき、祝福の言葉を伝えると、「まだ、この表彰は始まったばかり。意味を持つのはこれからでしょう」と表情を変えずに言った。GIを勝ちまくった年にキャリアについて問うと、「自分が最もすごかったのはもう何年も前のこと。リーディングを取っていたとき('06、'08、'09年)だと思う。今じゃないです。自分は調教師になるにはもう遅すぎる」。
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