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「ああ、上のステージに行っちゃったな」2004年浦和レッズ、長谷部誠“伝説のゴール”の真相【平川忠亮/福西崇史/鈴木啓太の証言】

2024/06/15
'06年、当時J史上最多の6万2241人を動員したG大阪との最終節でリーグ優勝。天皇杯との2冠も達成
在籍6年、「プロ最初のクラブが浦和で幸運だった」と長谷部は語った。そのキャリアの中で、浦和黄金期の幕開けとなったと語り継がれるゴールがある。入団同期、対戦相手、ボランチの相棒の三者が、あの名シーンを振り返った。(原題:[2004年の浦和レッズ]未来を切り拓いた伝説のゴール)

 その瞬間、真っ赤に染まったスタンドが大きく揺れた。

 3-2。タイムアップ寸前の後半アディショナルタイムに値千金の決勝ゴールが生まれる劇的な幕切れ。その主人公となった長谷部誠の姿を見て、試合のメンバー外だった平川忠亮は呆気に取られたという。

「もう、素直に思いましたね。あぁ、上のステージに行っちゃったなと」

 2004年8月29日、J1セカンドステージ第3節。浦和レッズが埼玉スタジアムにジュビロ磐田を迎えた一戦で、若き日の長谷部が演じた「伝説のゴール」である。

エメルソンが先制弾、さらにGK佐藤のミスから追加点。磐田は前半終了間際に前田がゴール、79分の福西退場後、西が得点し2-2 。試合終了直前に長谷部が劇的決勝弾を決めた
エメルソンが先制弾、さらにGK佐藤のミスから追加点。磐田は前半終了間際に前田がゴール、79分の福西退場後、西が得点し2-2 。試合終了直前に長谷部が劇的決勝弾を決めた

 当時の磐田と言えば、名波浩をはじめ、藤田俊哉、服部年宏、福西崇史、田中誠、鈴木秀人などジュビロ黄金時代を支えてきた歴戦の勇士がずらり。さらに、重鎮の中山雅史もベンチに控えていた。

 だが、数々の修羅場をくぐってきた海千山千の猛者たちが、縦に仕掛けた長谷部に次々と手玉に取られていく。センターサークル近辺で名波が振り切られると、次に田中が、最後は鈴木が置き去りにされた。

「あの磐田の選手たちが止めたくても止められない。最後はボールを浮かせる技ありシュート。それも体勢を崩しながら、利き足とは逆の左足でアウト回転をかけたところまでを含め、すべてが完璧でしたね」

 しかも、ほとんどの選手の体力が尽きかけた後半アディショナルタイムにやってのけたのだから、普通ではない。

「たぶん、余裕をもってプレーしていたと思います。最後まで戦い抜くための体力を残しながら……」

 テクニックやフィジカルに加えて、したたかに戦況を見極める“サッカーIQ”という点でも、すでにワンランク上のレベルにある――。衝撃のゴールは、それを改めて思い知る機会となった。

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photograph by Toshiya Kondo

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