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【引退】「後悔はしたくない」日本代表不動のキャプテン・長谷部誠を突き動かした“志”とは?《ロシアW杯後の思い》

2024/05/11
8年にわたり日本サッカーを支え続けた主将が代表を去る。「後悔はしたくない」。強い想いが皆を結束させ、今大会ベスト16へ導いた。仲間と誠実に向き合い続けた男が残したものとは。(初出:Number PLUS2018W杯総集編[不動のキャプテン、最後の闘い] 長谷部誠 築き上げた志。)

「国外で開催されたW杯で日本代表が『初めて』決勝トーナメントに進出したときにキャプテンを務めたのが長谷部さんです」

 そう紹介されたら、彼は必ずこう付け加える。南アフリカW杯での自分は「ゲームキャプテン」を任されただけで、チームのキャプテンは川口能活さんだったと。正確な事実を伝えようとする几帳面さと、先輩の業績をたたえる心配りからだ。

 長谷部誠は日本代表として、歴代5位となる114試合に出場してきた。南アフリカW杯で当時監督の岡田武史氏にゲームキャプテンに指名されてから、5人の監督のもとで全出場試合の70%以上となる81試合でキャプテンマークを巻いてきた。彼の戦いの多くは、左腕の腕章とともに記憶されている。

 しかし、彼がキャプテンマークを巻いた時期に、日本代表が「初」とつくような何かを残したことは意外に少ない。

 でもそれは、代表引退を決めた長谷部が何も残していないなどという意味ではない。

 一見すると語りにくいところにこそ、彼の功績はつまっている。

「これをやっておけばよかった」がないようにしたい。

 彼が残したモノは、何だったのか―。

 グループリーグ突破を決めたポーランド戦の翌日のこと。通常のミーティングとは異なり、選手やコーチだけでなく、代表にかかわる全スタッフが集められた。そこで、西野朗監督がポーランド戦終盤の戦い方を詫びた。選手に攻撃的に行くよう求めてきたにもかかわらず、フェアプレーポイントでの勝ち上がりに賭け、攻めることなく試合を終わらせるよう指示したことについてだった。

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photograph by Tsutomu Takasu

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