#1004
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<リーグ再開と今後を語る> 長谷部誠「自分にはサッカーしかない」

2020/06/06
今季、苦しい戦いが続くフランクフルト。厳しい残留争いも再スタートとなる。
猛威を振るう新型コロナウイルスの影響でほぼ全世界のサッカーシーンがストップするなか、5月16日にブンデスリーガが先陣を切って再開した。リーグが定めた詳細な安全ガイドラインのもと、これまでとは大きく姿をかえて帰ってきた“日常”。再開初戦を終えた長谷部誠が複雑な胸中を語った。(Number1004号掲載)

 オンラインで聞く長谷部誠の声は、これまでと同じく明瞭で快活で、穏やかだった。しかしその裏で、新型コロナウイルス感染拡大による新たな現実に激しい葛藤があったのだという。これまでならリーダーとして発言していたかもしれない危機にも発信を控えていたわけ、リーグ再開強行への思い、そして自身の未来。自問自答の末にプロとして導き出した答えとは。

――ブンデスリーガは新型コロナの影響で3月15日の週から中断になりました。当初は決定をどのように受け止めたのですか?

「ウイルス自体は目に見えないので、その時点では、脅威についてそこまで深刻には考えていなかったんです。ただ、チームメイトが感染したと伝えられて、改めて僕たち選手も検査をしなければならなくなり身近に捉えました。そのPCR検査の結果が出るまでに日数がかかったんですが、その間は、『自分も感染しているかもしれない』という不安がありました。その不安は自分自身にというよりも、家族や知人たちに対して。僕からウイルスを拡散させてしまった可能性があると考えたときには、申し訳ないと思うのが正しいかはわからないんですけども、相手を不安にさせてしまったと感じました」

――結局チームは2週間の隔離措置を受けることになりました。

「その間は家から一歩も外に出られなかったです。買い物などは友人に頼んで玄関の前に置いてもらっていました。またチーム内で感染者が出たことをクラブが発表したので、同じマンションの住人が不安に思うということで、管理会社からは『あなたが感染しているか、していないのかだけでも教えてください』と言われ、感染していなかったことは伝えました。また僕の家庭には小さな子どももいるので、子どもが家の中だけの生活でストレスを溜めないように気をつけていましたね」

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photograph by AFLO

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