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「彼の演技からはジュリエットの姿が見える」俳優・柚希礼音が語る羽生結弦の“超越した次元”「表現する、という言葉すら…」
'19年にアイスショーに出演させていただいたのですが、スケート靴で前に進むだけでも本当に大変でした。選手の皆さんはどれほど練習を積み重ね、イメージトレーニングを行った上で演技に臨んでいるのかを想像するといつも心が揺さぶられます。不安な気持ちに打ち克って本番に臨んでいることを想像するだけで、本当に尊敬せずにはいられません。羽生結弦選手は悔しい時も、演技直後でさえ早くもそれに向き合い、受け入れている。大人だなと感じますし、インスパイアされます。
宝塚歌劇団に入団する前に私はバレリーナを目指してクラシックバレエをしていたのですが、コンクールとなるとプレッシャーに押しつぶされ、100%の力を出し切れず良い演技を披露できませんでした。ですが、羽生選手は五輪など本番で毎回素晴らしい演技を披露し、たとえジャンプで転倒などがあってもしっかりとリカバリーされている。何度でも挑む姿勢や、演技を洗練させていく姿からは、強靭な精神力を感じます。
初演はピュアに、2度目は苦悩するロミオを繊細に。
羽生選手が2011─'12、'13─'14シーズンと2度フリーで演じられたこのプログラム。初演は現代版にアレンジされた映画のサントラなどを使用されていましたが、原作者のシェイクスピアがこの物語を作ったときの設定ではロミオは17歳前後と言われていて、羽生選手も同じ年代でした。若さが弾けるようなダイナミックな演技が印象的で、日本人が演じるには少し難しいであろう役どころ、激しくもピュアなロミオを思い切り演じられている印象です。わずか17歳ながら演技に入り込む集中力にはすさまじいものがありました。また、2度目に演じたシーズンは苦悩するロミオが繊細に描かれているなと感じました。最後のポージングなど、演技の細部から、よりプログラムを洗練したものにしたいという強い意志が伝わってくるようです。
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