#920
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《チャンピオン連続直撃》田中恒成、田口良一が選んだ“最強ボクサー”は?「相手として見た時、勝ち方がイメージできない」

2023/12/27
21歳6カ月での2階級制覇は井上の21歳8カ月を上回る最年少記録
Number920号に掲載された大型企画「チャンピオンが選ぶ最強ボクサー」。井上尚弥や村田諒太を含む日本人チャンピオンが、「歴代最強」と「現役最強」を独自の基準で選んだ。

田中恒成「引き出しの多いボクサーが強い」

21歳6カ月での2階級制覇は井上の21歳8カ月を上回る最年少記録 ©KYODO
21歳6カ月での2階級制覇は井上の21歳8カ月を上回る最年少記録 ©KYODO

歴代:フロイド・メイウェザー・Jr.
       &
現役:ワシル・ロマチェンコ

◆ ◆ ◆

 僕は試合の前、この相手に自分がどう勝つかというイメージをするんです。その近道は相手の強みを消してしまうことです。

 例えば、昨年末のモイセス・フエンテス戦(5回TKO勝利)ならば、相手は前に出てくる選手だった。最初はそれをどうさばいてポイントアウトしてやろうかと考えていたんですけど、映像をよく見ると、それまでの対戦相手はフエンテスの圧力を勝手に感じて下がってしまっていた。トレーナーと話しているうちに「俺が前に出てしまえば、相手の強みはゼロになる」ということに気づいたんです。その作戦がハマった試合でした。

「最強」の選手というのは強さもうまさも両方ないとダメだと思いますが、その中でもメイウェザーは対戦相手として見た時、勝ち方がイメージできない。ファイターにも、スピードのある選手にも同じことをして勝ってしまう。だから「最強」はメイウェザーですね。

 現役ではロマチェンコです。よく技を参考にするために映像を見るんですが、何より「引き出し」が多いんです。これは、自分が目指していることでもあります。いつもの自分のスタイルが通用せず、想定外の事態になった時に豹変して戦えるかどうか。「引き出し」を持っている選手が強いんです。

 僕は高校生の時にライバルになる選手と戦って、途中までポイントを大きくリードされていたことがありました。でも、不思議と焦っていなかった。そこからがむしゃらに打ち合って最終的には1ポイント差で負けました。周りからはスピードとステップの選手だと思って見られるかもしれませんが、自分の中にはいざとなれば足を止めてがむしゃらに打ち合う本能があるんです。試合の中で静かに戦うところと、激しく倒しにいくところの波をつくりたい。ただ、僕はまだその本能を最初から計算に入れて戦えているわけではないので、そういうものを「引き出し」にしていければいいなと思っています。(構成・鈴木忠平)

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