日本MMAにおける新時代の顔といえば、未来と海の朝倉兄弟だ。“不良格闘技”大会『THE OUTSIDER』で兄弟ともにチャンピオンになるとRIZINに乗り込み、弟の海はバンタム級タイトルを獲得。海を格闘技の道に引き込んだ未来は、9月25日のスペシャルイベント『超RIZIN』で元ボクシング世界5階級制覇のフロイド・メイウェザーJr.と対戦する。
故郷、愛知県豊橋市で喧嘩三昧の日々を過ごしていた少年がボクシング世界最高峰のビッグネームと拳を交える。その過程で何があったのか。未来はどんな強さを持ち、何が魅力なのか。5つのキーワードから、その独自性と現代性を紐解いてみたい。
1 不良伝説
未来は1992年生まれ。少年時代は空手と相撲を習っていた。中学に入った頃からひたすら喧嘩の日々。自分から喧嘩を売ることはなかったが、売られた喧嘩はすべて買った。自伝『路上の伝説』によると、相手が複数の時も多く「誰でもいいからかかってこいよ」が口癖になっていた。
暴走族50人に2人で立ち向かい、袋叩きにされたこともある。それがきっかけで自分も別の暴走族に入った。暴走族に興味はなかったが「暴走族対暴走族」になれば対等な関係。相手はもう数に任せて屈服させるような卑怯な真似はできない。実際、暴走族同士の抗争で「一番強い者同士」のタイマンとなり、未来が相手を一撃で倒したという武勇伝も。
だが、そんな日々は長くは続かなかった。豊橋の外にも名が知られ、極道にも警察にもマークされた未来は少年院へ。母の涙を見て、自分が「自由」を履き違えていたことを痛感する。少年院を出る頃に知ったのが、元プロレスラーの前田日明氏が立ち上げた『THE OUTSIDER』だった。コンセプトは不良たちに格闘技という道を与えること。
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