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[ロングインタビュー]那須川天心「ボクシングも自分色で」

2022/08/25
あの日、満員の東京ドームの中心で神童は伝説を作った。弱冠15歳でのプロデビュー、そして中1日でのMMA連戦など、常に想像を超えてきた規格外のキックボクサーが明かす42戦無敗の軌跡、そしてボクシング転向後の青写真とは。

「こんなに長く休んでいるのは人生で初めて。今日みたいに取材を受けたりはあるので完全に自由というわけではないけど、初めて長い夏休みを過ごしている感じです」

 5万6399人(主催者発表)と記録的な大観衆を集めた『THE MATCH 2022』(6月19日・東京ドーム)で実現した武尊との頂上対決から1カ月半、那須川天心は穏やかな時間を過ごしていた。

「次の試合がないというだけで精神的には楽。でも、ほとんど動いていないので、体重は結構増えていると思いますね」

 プロデビュー以来、那須川は42戦全勝(28KO)と無敗のままキックボクサーとしての競技生活を終えた。日本の格闘技史を振り返っても、一度も負けることなく現役を終えたスターやカリスマは皆無だ。どれだけ規格外の存在だったのか。

 キック卒業マッチとなった武尊戦も1Rに左フックでダウンを奪い、ハッキリと優劣をつける形で判定勝ちを収めた。有終の美を飾った那須川は「最高の置き土産になった」と胸を張った。

「ストーリーとしてうまくいきすぎだと思うけど、武尊選手との試合が実現できて本当によかった」

 vs.武尊は長年ファンが待ち望んでいた夢の対決だった。しかしながら双方が活動の拠点としていたRISEとK-1の間には大きな溝があり、冷戦状態が続いていた。那須川の方から対決に向けてのアクションを起こしたこともあったが、色よい返事が戻ってくることはなかった。それだけに「実現は不可能」という声の方が大きかった。ところが、昨年末RIZINの榊原信行CEOがさらに一歩踏み込んだ交渉をすることで突如話は動き出す。発表は12月24日だったが、このときの那須川の喜びようといったらなかった。まるで最高のクリスマスプレゼントをもらった子供のような笑顔を浮かべていた。

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photograph by Ryo Saito

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