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『銃・病原菌・鉄』上・下 感染症を考える上で役に立つ、人類史を変えた過去の事例。

2021/12/15

 新型コロナウイルスが猛威をふるう20年前に日本でも出版されたアメリカ人学者による1万3000年に及ぶ人類史の本書。タイトルになっている「銃・病原菌・鉄」は欧州人が他の大陸を征服できた要因の代表例であり、それらが有利に働いてヨーロッパ中心の文化がつくられていったという流れがよく理解できます。

 この本を手に取ったきっかけは、まさに病原菌のところです。コロナを考察するなら、人類と病原菌がどのような歴史をたどってきたのかきちんと知っておきたいという思いに駆られたからです。

 たとえば本書にはこうあります。

「一五一九年、コルテスは、人口数百万人を誇り、勇猛果敢な軍隊を擁するアステカ帝国を征服するために、六〇〇人のスペイン兵士とともにメキシコの海岸に降り立った。(中略)結局、スペイン側の勝利を決定づけたのは軍事力ではなかった。一人の奴隷が一五二〇年にメキシコにもたらした天然痘の大流行のおかげで、スペイン側は勝つことができたのである。この流行によって、アステカ帝国の人口のほぼ半分が死亡した」

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