「人生ネガティブに生きても面白くない」
バレーボール日本代表が誇る若き主砲は、成功も失敗も前向きに捉え、成長の糧にする。
(初出:Number1007号<日本男子バレーの次世代エース>西田有志の飛び込む心に学べ。)
バレーボール日本代表が誇る若き主砲は、成功も失敗も前向きに捉え、成長の糧にする。
(初出:Number1007号<日本男子バレーの次世代エース>西田有志の飛び込む心に学べ。)
かつて、自らのサーブでここまで劇的な勝利を演出した日本人選手がいただろうか。
2019年10月15日。バレーボールワールドカップ男子大会最終日、日本対カナダ。セットカウントは2対2の終盤、サーブ順は19歳の西田有志に巡って来た。
フーッと息を吐き、高く上げたトスを最高打点で左手が捉え、力強く叩き込む。まるでバックアタックのような強烈なサーブで、1本サービスエースを獲ったかと思えば、また1本、さらに1本と加速する。
9対9から5本のサービスエースを含む6連続得点で15対9。劇的な勝利以上に、何ともはや、神業とも言うべきサーブを、最後の最後、緊迫した場面で打てる逞しさ。
まさに狙い通り、と思いきや、本人は実は違うと言う。
「サービスエースを獲ってやろう、とは全然考えていなかったんです。ただいつも通り打とう。それだけ考えていたんですけど、サーブを打つ時に(優勝した)ブラジル(の選手)が応援しているのが見えたんですよ。応援してくれるのは嬉しいし、ありがたいです。でも、なに余裕で応援しとんねん、って思ったら、何か悔しくて(笑)。俺らもあっち側に行きたい。絶対ブラジルに勝ちたい。だからこんなところで負けてられん、と思って気合が入りました」
バレーボールで唯一の個人技。
バレーボールのさまざまなプレーの中で、最もメンタルとリンクしているのがサーブだ。スパイクやブロックは、その前のトスやレシーブも関連するが、サーブは8秒以内であれば、打つタイミングや場所を決めるのは自分自身。唯一の個人技だ。
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photograph by Asami Enomoto