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【動画】「吉田礼志さんを見てきたから」箱根駅伝予選会“日本人トップ”近田陽路が見据える2区「65分台」と超軽量シューズの使い方「反発力はあるけど…」《徹底解剖:中央学院大学2025①》

2025/11/21

 箱根駅伝に挑む選手を動画でインタビューする連載「徹底解剖」に中央学院大学・近田陽路選手(4年)が登場。箱根駅伝予選会では日本人トップでゴールし、チームの首位通過に大きく貢献した。手本としてきた先輩、エースの称号について、百戦錬磨の川崎勇二監督の指導、そしてアシックスの超軽量シューズについて話を聞いた。
 NumberPREMIERでは箱根駅伝2026に出場する大学を動画で次々と取材。選手に話を聞いていく「徹底解剖」だけでなく、監督、コーチ陣にじっくりインタビューをする「駅伝監督」シリーズも続々公開していきます。

「2区で65分台を狙っていきたいと思います。近年の箱根駅伝は序盤区間が大切ですから、そこでチームに勢いをつけられたらな、と」

 10月18日の箱根駅伝予選会を首位通過した中央学院大学。そのチームのエースであり、キャプテンも務めるのが近田陽路だ。ハーフマラソンの自己ベストは1時間0分45秒と確かな実力の持ち主であり、予選会では昨年の吉田礼志(現Honda)に続き、チームとして2年連続で「日本人選手トップ」を出す快走を見せた。

 その近田が、11月5日、アシックスの「EKIDEN Pack」発表会にゲストとして登場。冒頭のように箱根路でエース区間を担う決意とともに、65分台という高い目標を自ら掲げた。

記者会見での近田 photograph by Yuki Suenaga
記者会見での近田 photograph by Yuki Suenaga

 近年、厚底シューズの影響もあり、「花の2区」とも呼ばれるエース区間でも区間記録が続々と更新されている。2020年の96回大会で東洋大・相澤晃が史上初めて「66分」の壁を破ると、翌年には東京国際大の「最強留学生」イェゴン・ヴィンセントがさらに更新。そして前回大会では、リチャード・エティーリ(東京国際大)、吉田響(創価大)、黒田朝日(青山学院大)と一気に3名が65分台に突入し、さらに篠原倖太朗(駒大)と山中博生(帝京大)、前述の吉田礼志も66分30秒を切るという凄まじくハイレベルな区間賞争いが展開された。

 このスピード化の流れに沿うと近田の強気な宣言にも頷けるのだが、発表会終了後、インタビュー時間をもらって真意を聞くと、やや意外な心の内を明かしてくれた。動画インタビューでは、先輩・吉田礼司から学んだこと、チームのエースとして現在考えることなどを聞きつつ、その真意を探っている。

メタスピードレイを選ぶ理由

 この日、アシックスは同社史上初めての「EKIDEN Pack」を発表した。厚底シューズの開発をリードしたNIKEは10年ほど前から「駅伝」に着想を得た特別なカラーリングをリリースしており、マーケティング戦略としてアシックスの施策は後発と言ってもいいだろう。

 だがトップアスリート向けのレーシングシューズが3種類用意されているという大きな特徴がある。

 片足わずか129gという超軽量が特徴の「METASPEED RAY」(以下、レイ)、ストライド型ランナー向けの「METASPEED SKY TOKYO」(以下、スカイ)、ピッチ型ランナー向けの「METASPEED EDGE TOKYO」(以下、エッジ)。厚底シューズの中でコンセプトに基づいた選択肢をしっかり提示できている点が、アシックスの強みだろう。

 今回、近田の話を聞いて驚いたのが、「レイ」を履いており、実際に予選会でも着用したということだ。5月にレイが発表されてからメタスピードシリーズを愛用する何人もの選手に「どれが好きですか?」と聞いてきたが、レイを挙げたのはごく少数であり、日本人ランナーにはやや履きこなすのが難しいのかもしれない、という印象を受けていた(スカイやエッジはとても良いシューズだと思っている市民ランナーの筆者も、正直、履きこなす自信はない)。

 もちろん、東京世界陸上・男子マラソンで銅メダルに輝いたイリアス・アウアニ選手(イタリア)が着用するなど、世界のトップランナーが履いているのは承知していたが、レイの圧倒的な軽さと強い反発力は唯一無二の感触を得られるものの、それを自分の武器とするのは難しいのだろう、という印象を持っていた。

早大・工藤慎作らとイベントに登場した近田(左端) photograph by Yuki Suenaga
早大・工藤慎作らとイベントに登場した近田(左端) photograph by Yuki Suenaga

 だが、近田は「軽さよりも、反発力が特徴だと思います」とコメントしつつ、レイを履きこなすことで自らのランニングフォームが変わってきたと明かしてくれた。

「大学に入学してからはずっとメタスピードシリーズを愛用しています。自己ベストも出ていますし、自分に合っているのかな、と。初代スカイやスカイプラスも履いていたんですが、今はもう『レイしかない』という感じですね。レイの最初の印象は反発すごいなぁ、ということ、そしてスピードが簡単に出せるということでした。実は当初は靴が合ってなかったんですけど、レイを履けるように足を作ったら今年の丸亀ハーフで60分45秒という好タイムが出せました。最初はちょっとグラつくなとも思ったんですけど、今は不安もなく、カーブでもスムーズに走れるようになっています」

 ただ、近田の周囲でもレイをチョイスする選手は少数派だという。

「チームメイトでも1人だけですし、あんまりいないですね。先ほども言いましたけど、このシューズに対する足作りが必要になるからだと思います。レイは反発が強いので、それを受け止めるお尻の筋肉がないと、すぐに太ももに(疲労が)きてしまう。ですからスクワット系の補強などを取り入れ、大臀筋、腸腰筋など股関節周りの筋肉を鍛えてきました。ただ、レースの後半になると『靴に走らされているな』という感覚になることもあるので、まだ体幹が足りないという事かもしれません。もっとトレーニングが必要ですね」

2区「65分台」への具体的なイメージは?

 動画では、以下のようなトピックについてもお話を伺った。

  • チーム内の成長株
  • 吉田礼志から学んだこと
  • エースとはどういう選手なのか?
  • 箱根駅伝ではどんな走りをしたいのか?
  • 2区「65分台」への具体的なイメージは持っている
  • 川崎監督の「0.1秒」へのこだわり

 キャプテンでエース。中央学院大の大黒柱への約8分と短いものの内容の詰まった濃厚なインタビュー、ぜひご覧ください。(11月5日取材)  

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photograph by Yuki Suenaga

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