臙脂の期待と伝統を背負い続けた4年間の果てに、真新しいナショナルスタジアムで凱歌を上げた。因縁深い紫紺の軍団を打ち破った11季ぶりの日本一。彼らの成長と可能性を指揮官の言葉とともに読み解く。(Number996号掲載)
2020年1月11日。「国立」にラグビーが帰ってきた。
新国立競技場で初めてのラグビー試合。5万7345人の見つめる中で行われた大学選手権決勝。勝利の雄叫びをあげたのは赤黒ジャージーをまとった早大だった。日本一になったときにだけ歌うことを許される早大の勝利の歌「荒ぶる」の歌声が、'08年度以来11季ぶりに響きわたる。その歓喜の歌声の中心に、3人の4年生がいた。
主将にして正確無比なゴールキッカー、この日も全てのキックを成功させたSH齋藤直人。冷静沈着にゲームを組み立てながら、自陣からロングDGも狙う大胆で多彩なリードをみせたSO岸岡智樹。彼らからパスを受け、頑健な突進で相手防御網を突き破ったCTB中野将伍。
復活を目指した早大にあって、3人の存在は際立っていた。齋藤はルーキーシーズンの初戦からこの日の決勝まで4年間、早大の全ての公式戦35試合(春季大会は含まず)に背番号9で先発した。岸岡は、2年時の初戦となった日体大戦を欠場したのみ、残る34試合で齋藤とペアを組んだ。中野は4年時にふくらはぎの肉離れで5試合を欠場したが、それまでは1年時の開幕戦を欠場しただけで皆勤を続けていた。3人は、赤黒ジャージーを象徴する存在だった。
齋藤直人
早稲田、「黄金トリオ」の系譜。
1918年の創部以来、日本のラグビーの先頭を走り続けてきた早大。大学選手権史上最多の優勝16回を数える栄光の歴史には、何組もの「黄金トリオ」が現れた。
1979年入学のSO本城和彦、CTB吉野俊郎、FB津布久誠。
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photograph by Aki Nagao