平成の31年間で最も多くの本塁打を放ったのは、「アニキ」こと金本知憲だった。その数、476本。ファンの記憶に残るアーチを数えればキリがないが、本人も認める一発とはどんなホームランなのか。珠玉の3本を挙げてもらい、その哲学に迫った。(Number980号掲載)
太い。厚い。シャツの上からでも二の腕や肩や胸まわりが隆起していることがわかり、それがあの頃と変わらず“鋼鉄製”であることをうかがわせる。
「バットが重いわ(笑)」
ご冗談を――。巷のうわさでは現役引退後も呼吸するのと同じレベルで筋トレを続けているというではないですか。
バットを置いて7年が経つが、相変わらずこの人は鉄人であり、アニキだった。
その姿に、あのカタルシスがよみがえる。浜風を切り裂く低弾道に、燃え上がる黄色いスタンド、光り輝く甲子園の夜はたしかに金本知憲の本塁打とともにあった。
平成のホームラン王が放った476本。その中で、おそらく阪神ファンの誰もが知っているだろうホームランがある。
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photograph by Kiichi Matsumoto