日本ハムでの手腕を買われ、チームの再建を託された。
最重要課題は“編成哲学”のスタンダードを構築すること。
知略を武器にして、新生ベイスターズの挑戦が始まる。
最重要課題は“編成哲学”のスタンダードを構築すること。
知略を武器にして、新生ベイスターズの挑戦が始まる。
筆者がはじめてGMと話をしたのは、ドジャースのプレスボックスでのことだ。
相手はポール・デポデスタ。そう、映画『マネーボール』でジョナ・ヒル演じる太っちょのGM補佐のモデルとなった人物だ。
「これまでとは違う発想でチームを強くしたいんだ」と語るデポデスタは、当時31歳。その言葉には自信があふれ、自分よりも年下のGMがとても眩しく見えた。
ちなみに実際のデポデスタはとても痩せていて、映画版では太り過ぎにデフォルメされており、というよりもあまりにもオタクっぽい設定だったので、自分の名前が使われるのを拒否した。
それから何人かのGMと話をした。ビリー・ビーン(アスレチックス)にジャック・ズーレンシック(マリナーズ)。いずれも語り口に独特の味わいがあり、メジャーではGM同士が「哲学」の戦争をしていることが手にとるように分かった。
春田オーナー(右)、池田球団社長ら若い経営陣と手を取り合っての船出
さて、わが国ではどうか。私が日本のプロ野球で物足りないのは、GMの顔が見えないことだ。なにもアメリカを礼賛するわけではないが、そもそも日本ではGM制度が根付いていない。GMというポストを用意している球団も限られているし、その職掌もバラバラだ。日本では監督同士の戦いというイメージが強く、球団の戦略勝負といった面が薄い。
それでも今シーズンから横浜DeNAベイスターズのGMに就任した高田繁は日本で唯一、GMとしてキャリアを積んできた人物といえるだろう。2004年オフに日本ハムのGMに就任すると、'06年には日本一の球団を作り上げた。その実績が評価され、DeNAのチーム作りを任されたことに疑いはない。
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photograph by Kenshu Sannohe