#796
巻頭特集

記事を
ブックマークする

<横浜DeNAベイスターズGM> 高田繁 「最下位脱出のための再生プランを語ろう」

2012/02/03
日本ハムでの手腕を買われ、チームの再建を託された。
最重要課題は“編成哲学”のスタンダードを構築すること。
知略を武器にして、新生ベイスターズの挑戦が始まる。

 筆者がはじめてGMと話をしたのは、ドジャースのプレスボックスでのことだ。

 相手はポール・デポデスタ。そう、映画『マネーボール』でジョナ・ヒル演じる太っちょのGM補佐のモデルとなった人物だ。

「これまでとは違う発想でチームを強くしたいんだ」と語るデポデスタは、当時31歳。その言葉には自信があふれ、自分よりも年下のGMがとても眩しく見えた。

 ちなみに実際のデポデスタはとても痩せていて、映画版では太り過ぎにデフォルメされており、というよりもあまりにもオタクっぽい設定だったので、自分の名前が使われるのを拒否した。

 それから何人かのGMと話をした。ビリー・ビーン(アスレチックス)にジャック・ズーレンシック(マリナーズ)。いずれも語り口に独特の味わいがあり、メジャーではGM同士が「哲学」の戦争をしていることが手にとるように分かった。

春田オーナー(右)、池田球団社長ら若い経営陣と手を取り合っての船出

 さて、わが国ではどうか。私が日本のプロ野球で物足りないのは、GMの顔が見えないことだ。なにもアメリカを礼賛するわけではないが、そもそも日本ではGM制度が根付いていない。GMというポストを用意している球団も限られているし、その職掌もバラバラだ。日本では監督同士の戦いというイメージが強く、球団の戦略勝負といった面が薄い。

 それでも今シーズンから横浜DeNAベイスターズのGMに就任した高田繁は日本で唯一、GMとしてキャリアを積んできた人物といえるだろう。2004年オフに日本ハムのGMに就任すると、'06年には日本一の球団を作り上げた。その実績が評価され、DeNAのチーム作りを任されたことに疑いはない。

特製トートバッグ付き!

「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています

photograph by Kenshu Sannohe

0

0

0

前記事 次記事