年に一度観られるグランプリを楽しみたい――。全19戦の取材で今年はそうしたファンの期待を強く感じた。政情不安、天変地異、経済危機とネガティブなニュースが渦巻いたが、それでもグランプリは観客を惹きつける新たなパワーで応えた。新導入のDRSはオーバーテイクを激増させ、KERSとともにスポーツ性を強調。新タイヤのピレリはピットストップ戦略を大きく変えた。
変化に富んだ'11年、24歳のS・ベッテルが最速・最強・最高の走りでV2を達成、11勝を挙げた。N・マンセルを超える年間15回のPP新記録を樹立し、17戦表彰台はM・シューマッハーとタイ記録である。“3番目のマシン”フェラーリを駆るF・アロンソは自身の総合得点を昨年より伸ばしたが、無念のランキング4位。後半、急速に戦力アップしたマクラーレンで“変身”を遂げたJ・バトンは、攻撃性をもってチームメイトのL・ハミルトンを抑えた。復帰2年目のシューマッハーも、後半にはN・ロズベルグよりも上位入賞率を上げていった。モナコGPで自己ベスト5位を果たした小林可夢偉は終盤、劣勢のザウバーで奮闘。チームランキング7位で締めくくりエースの任務を遂行した。H・コバライネンは2年目の新興ロータスでウイリアムズに肉薄。チームを鼓舞する善戦を重ねた。
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