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岡崎慎司は救世主か、期待外れか?
ブンデス・デビュー戦を検証する。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byBongarts/Getty Images
posted2011/02/21 12:00
試合後半早々にイエローカードをもらってしまった岡崎。守備への過大な負担は、岡崎のプレーに焦りを生んでいた
ラバディア監督の攻撃偏重がチームを沈ませる……。
前線には得点力のある選手が揃っているのだが、失点が多すぎるのだ。おまけに、12月にラバディア監督が就任してから、チームの失点はさらに増えている。
ラバディア就任以前の公式戦の平均失点は1.6点。
しかし、就任以後の平均失点は2.6点にまで膨れ上がってしまった。
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ラバディアは、現役時代にブンデスリーガ(1部)通算103得点をあげた名ストライカーだった。監督となった今もそのアイデンティティは健在で、攻撃力を伸ばす手腕には定評がある。実際、彼のもとでチームの1試合平均得点は2.0点を記録している。それでも、平均失点の2.6を下回る。「チームが勝つため」に、攻撃的なポジションを務める岡崎が守備に奔走させられるのも仕方がない面がある。
一方で、3日前のベンフィカ戦で課題としていた「攻撃の組み立て」では進歩を見せた。
この日も、裏に抜ける動きだけではなく、中盤に下がってパスを引きだす。そして、そのボールを味方の足下へ。シンプルなプレーは、スタメン11人の中で2番目となる90%のパス成功率に表れていた。
試合から19日間も離れていたことで狂ったコンディション。
岡崎が2つ目の目標に挙げた「点が取れること」についてはどうだろうか。
最大の見せ場は57分に訪れた。カウンターから左サイド、相手のDFライン手前で受けた岡崎はボールを持ち運ぶと、中に切れ込んで右足を振り抜いた。レバークーゼンのバイ・アレーナには悲鳴に近い歓声があがったが、ゴールのわずか右に外れてしまった。
「いったかなと思ったんですけど……」と試合後に悔しさをにじませた。結局、決定機から10分近くがたった66分にMFティモ・ゲプハルトとの交代を命じられた。
「やっぱりアピールしないとフルでは使ってもらえないので。それがこの世界の厳しいところでもある」
岡崎はそう語り、ゴールという目に見える結果を残すことを誓った。
しかし、岡崎は1月29日のアジアカップ決勝から19日間も実戦を離れ、この試合の3日前にプレーする機会を得たばかりなのだ。
この日の前半は自陣で守備に追われる時間が多く、マイボールになってから前線までの距離が離れてしまう場面も少なくなかった。
「後半になったらエンジンがかかってきたというか、前半は守備に追われていたので。後半は逆にバランスは良くなったんですけど……。ただ、自分の特長は守備じゃなくて、攻撃なので。守備だけで終わらないようにしないといけない。コンディションの問題もあると思うし。試合から離れていたので。そこをどうにか工夫してやらないと」