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甲子園の風BACK NUMBER
「頭もいい織田翔希は東筑に来る噂あった」偏差値70の公立校・東筑ドラフトに完全密着…「記者わずか2人、指名可能性は1球団」その時、福岡は?
text by

井上幸太Kota Inoue
photograph byKota Inoue
posted2026/10/27 11:04
福岡県立東筑高校のドラフトに密着。「12球団最後の指名」その時、現場は?
「ああ、たぶん(測定機器の)ラプソードに接続するタブレットで確認したんでしょうね。それぞれ、教材用にタブレットを持っているので。そういうことに使うものじゃないんですけどねえ」
そうぼやいて苦笑しつつも、必要以上にとがめはしなかった。というのも、高校時代の山下自身が、ドラフトが気になって仕方がない経験をしているからだ。
東筑OBである山下の同級生だったのが、広島でプレーした井生崇光。幼稚園からの親友の“晴れの日”は気が気でなかった。高校3年だった1998年当時は、スマホもなく、さらには昼間にドラフト会議が行われていたため、授業時間と重なった。山下は「トイレに行ってきます!」と言い残して教室を抜け出し、普及しつつあった携帯電話で兄に電話をかけた。テレビ中継を視聴している兄に、親友が呼ばれるかもしれないドラフトを“実況中継”してもらった。ほどなくして、電話口で兄が「広島2位!」と叫んだ。教室に戻り、「どうだった?」と目くばせするクラスメートに、こっそりピースサインを作り、「2位指名」を伝えた。
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そんな青春の1ページを持つ山下だけに、この日ばかりは“お目こぼし”を決め込んだ。
支配下指名終了…平山の様子は?
それでも選手たちは、監督の注意が不要なくらい練習に集中していた。同じ北九州市内に学校があり、夏の準決勝で激闘を演じた九州国際大付の牟禮翔が日本ハムから2位で指名されたときも、ほとんど無反応だった。
当の平山も黙々と練習を続ける。投内連携では打者だけでなく捕手役も務め、同学年のエースだった187センチ右腕・深町光生とともに、夏の甲子園バッテリーが再現される場面もあった。深町の速球を、平山が甲高くミットを鳴らしながら捕球する。見ごたえのあるシーンだった。
練習終盤のティー打撃では、夏の甲子園で先頭打者弾を放ったことを想起させる鋭いスイングを見せ、後輩にアドバイスも送った。あっという間に2時間以上が経過し、19時30分ごろに練習が終了。ドラフト会議の支配下指名の終了と、ほぼ同時刻だった。
そして、運命の育成指名がはじまった――。
〈つづく〉


