博多の人・王貞治BACK NUMBER
「王さんのあんな行動…初めて見ました」痛恨の4連敗で城島健司と小久保裕紀が目を疑った“信じられないシーン”「よっぽど悔しかったんだ、と」
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喜瀬雅則Masanori Kise
photograph byJIJI PRESS
posted2026/09/30 17:03
敗れたときこそ、それを目に焼き付けるのが「王イズム」。だが、2000年シリーズの敗戦後に意外な場面が……
痛恨の敗退で“信じられないシーン”が
2連勝からの4連敗。
そのラストシーンは巨人・岡島の前に、ニエベスが空振り三振を喫した。マウンドに、巨人ナインの歓喜の輪ができる。その瞬間のことだった。
小久保と城島が、全く同じシーンを記憶していた。
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負けた瞬間、王がベンチ裏に消えたのだ。
胴上げのシーンを、最後まで見届ける。
それは、シーズンを戦ってきた相手へのリスペクトでもある。戦いが終われば、それこそノーサイド。勝者を称え、よき敗者になる。それも、プロとしての矜持である。
負けた現実に直面する。その悔しさを、次なる戦いへのバネにする。
それも「王イズム」だと、城島は認識していた。
城島に叩き込まれていた「王イズム」
城島が、レギュラーとして活躍したその初年度、3年目の1997年。3年ぶりのパ・リーグ制覇を果たしたのは西武だった。優勝決定は10月3日の西武ドーム(名称のみで、まだこの時は屋根がない)で、相手はダイエーだった。
延長10回、西武の4番・鈴木健がサヨナラ本塁打を放った。優勝決定サヨナラ弾という実に劇的なフィナーレは、ダイエーにすれば、屈辱的な幕切れでもある。
「あの胴上げを、しっかりと見ておけ」
悔しさに打ちひしがれていた若き城島に、王はそう“厳命”した。
目をそらすな。この思いを、絶対に忘れるな——。
だから城島は2005年、レギュラーシーズンは1位通過しながら、プレーオフでロッテに2勝3敗で敗れ、日本シリーズ進出を逃した時、泣いていた2番手捕手の的場直樹に、自らも悔しさを押し殺しながら、非情にこう告げた。
「泣いている暇があったら、胴上げを見ておけ」
翌2006年から、城島はFAでメジャーのシアトル・マリナーズへ移籍する。そのメジャー挑戦への意志を固めていたから、あえて的場に優しい言葉をかけなかったのだ。
「来年のために見ておけ、っていうのは、まさに王さんに言われた言葉ですよ。それを的場に伝えたんです。これはまさに『王イズム』なんです」


