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JリーグPRESSBACK NUMBER
妻に送った短いLINE「今日決められなかったら…」1年前、小林悠が“じつは現役引退をかけていた”ひとつの試合「最後かもしれない」奪った144ゴール目
text by

いしかわごうGo Ishikawa
photograph byJ.LEAGUE
posted2026/09/26 11:45
2025年7月20日、ガンバ大阪戦でJ1通算144得点目を決めた小林悠。そのすべては川崎フロンターレで積み上げたものだ
2017年のリーグ初優勝を含め、小林はクラブが獲得してきた全タイトルを選手として知る存在だ。ただ、最後に獲った主要タイトルである2023年の天皇杯から時が経ち、チームは世代交代の過渡期にある。それでも、絶対に失ってはいけないものがある。この惨敗と徹底的に向き合わなければ、黄金期の残り香さえも消え失せてしまう。そんな強い危機感を彼は言葉にした。
「普通の負けと思ってはいけないと思うし、一人ひとりが負けとどう向き合うのか。本当に明日からどう変わっていくのかっていうのをみんなが考えないと、フロンターレがタイトルを獲っていたような時代が本当に終わってしまう。もう一回、全員が向き合わなきゃいけない時だなと思います」
この歴史的敗北を「ただの1敗」で終わらせるのか、それともクラブが再び這い上がるためのきっかけとして向き合うのか。ミックスゾーンに重苦しい沈黙が流れる。今振り返れば、残された者たちに向けられた、小林なりのメッセージだったようにも思えた。
残り3カ月「ギラギラした自分がいるんじゃないか」
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百年構想リーグを無得点で終えた時点で、小林は引退を決断しようとしていたという。しかし竹内弘明強化本部長や吉田明宏社長からは「最後に応援してくれたサポーターのためにピッチに立つべきじゃないか」と温かい慰留を受けた。
盟友でもある中村憲剛ヘッドコーチからも「百年構想リーグで辞めるのは違うんじゃないか。もし1年頑張れないなら半年でもいい。タケさん(竹内強化本部長)に言えば、力になってくれるんじゃないか」との助言を受けて、心と体を奮い立たせて今シーズンを迎えている。
ただ、新シーズンも怪我があった。何より「ゴールを奪える自分」を信じられなくなった瞬間、小林はストライカーとしての寿命を悟ったのだろう。ごまかしながらピッチに立つ自分を許せなかったのかもしれない。39歳の誕生日に会見で述べた。
「もう1年間、体と心と向き合ったときに、『ちょっと頑張れないな』という自分がいたので、特別な形で12月いっぱいで引退という形になりました」
胸の奥底で燃え盛っていた炎は消え去ろうとしている。だが、燃え尽きる直前の炎こそ、もっとも熱く、激しく揺らめくものだ。
「逆に引退を発表して『残り3カ月』と思った時に、ギラギラした自分がいるんじゃないか、と楽しみでもあります」
等々力に幾多の奇跡をもたらしてきた稀代のストライカーは今、そのキャリアの最終章を迎えた。そして、最後のホイッスルを聞くその瞬間まで、自分を信じてピッチに立ち、ゴールを狙い続けていく。
<続く>

