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妻に送った短いLINE「今日決められなかったら…」1年前、小林悠が“じつは現役引退をかけていた”ひとつの試合「最後かもしれない」奪った144ゴール目
posted2026/09/26 11:45
2025年7月20日、ガンバ大阪戦でJ1通算144得点目を決めた小林悠。そのすべては川崎フロンターレで積み上げたものだ
text by

いしかわごうGo Ishikawa
photograph by
J.LEAGUE
◆◆◆
2026年9月23日、川崎フロンターレのクラブハウス。
会見場にスーツ姿で現れた小林悠は、39歳という年齢に相応しい穏やかさを纏っていた。
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2027年1月1日をもって、スパイクを脱ぐ。
現役引退の理由を問われたストライカーは、気負うことも、飾ることもなく、核心を口にした。
「自分自身のことを自分が信じ切れなくなってしまったというのが一番の理由です。気持ちでプレーしている部分が多かったので、それができないのなら選手を退くべきだなと思い、決断しました」
妻に送ったLINE「今日決められなかったら…」
引き際の予兆は、1年以上前から訪れていた。
彼自身が引退を強く意識した試合として挙げたのが、2025年7月20日、パナソニックスタジアム吹田でのガンバ大阪戦だ。2025年シーズン、リーグ戦で唯一得点した試合であり、現時点では最後に刻まれたゴールである。
あの日の小林は、「自分を信じること」の限界と対峙していた。スタジアムへ向かう前、スタメンで出場する小林は妻である直子さんに短いLINEを送っている。
「今日決められなかったら、サッカーをやめるかもしれない」
ストライカーとしてプロの世界を生き抜いてきた。だからこそ、「シーズンを通して1点も取れなかったら、FWとしてやめるべきだ」という矜持があった。
その覚悟が乗り移ったかのように、前半9分にゴールが生まれた。山本悠樹の展開から右サイドを崩し、伊藤達哉が絶妙な間合いでエリア内へと折り返す。左足で吸い付くようにトラップし、飛び出してくるGKの重心を見極め、鮮やかに右足を振り抜いた。
「少し相手から離れて、その少しの空間にピタッと入れてくれた。そこに出してくれれば、トラップとシュートのイメージは出来ていた。本当に達哉がよく見てくれていました」
力強いガッツポーズを繰り出し、咆哮する。記録されたJ1通算144得点目。実はガンバ大阪とは相性が悪く、鬼門だったパナスタでのキャリア初ゴールだった。
だが試合は逆転負けを喫している。関西のアウェイゲームとあって川崎の番記者がほとんどいないミックスゾーンで、彼を呼び止めて話を聞いた。小林は記録更新の笑顔など微塵も見せず、敗戦に複雑な表情を見せていた。そして自らに言い聞かせるように「自分を信じる」という言葉をこちらに何度も繰り返したのをよく覚えている。

