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妻に送った短いLINE「今日決められなかったら…」1年前、小林悠が“じつは現役引退をかけていた”ひとつの試合「最後かもしれない」奪った144ゴール目 

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いしかわごう

いしかわごうGo Ishikawa

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photograph byJ.LEAGUE

posted2026/09/26 11:45

妻に送った短いLINE「今日決められなかったら…」1年前、小林悠が“じつは現役引退をかけていた”ひとつの試合「最後かもしれない」奪った144ゴール目<Number Web> photograph by J.LEAGUE

2025年7月20日、ガンバ大阪戦でJ1通算144得点目を決めた小林悠。そのすべては川崎フロンターレで積み上げたものだ

「練習でスタメンだとわかった時点で腹を括ってました。今日に限っては、最後かもしれないと思って臨んでいました。ゴールという結果を出さないとダメだと言い聞かせていた。自分を信じなきゃいけないと思いましたし、そう思ったからこそゴールが生まれた。決めましたけど、チームが勝てないと嬉しさは全然ないです。チームが勝てるゴールを決められるように、自分を信じてやっていきたい」

 プロサッカー選手に限らず、ときにアスリートは悲壮な決意を口にして勝負に向かうことがある。だが鈍感な私は、「最後かもしれない」という小林の言葉の真意が、文字通り自らの現役引退をかけた試合だったことに気づけなかった。

 自信とは「自分を信じる」と書く。常に「自分がヒーローになる」と信じてゴールをこじ開けてきたストライカーが、その自信の揺らぎと葛藤していたのだ。結果として、この一撃が2025年シーズンにおけるリーグ戦唯一のゴールとなった。

惨敗後に伝えた“本気のメッセージ”

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 迎えた2026年。

 百年構想リーグでの出場はわずか2試合。その数少ない出番となったのが、第8節、MUFGスタジアムでの横浜F・マリノス戦だった。

 76分、スコアボードが0-4を示す絶望的な局面で背番号11はピッチに立っていた。苦しいときこそ、小林悠。絶望を希望へと塗り替えてきた奇跡を誰もが願った。だが現実は無慈悲だった。直後に失点を許して0-5。アディショナルタイム、山本悠樹のクロスに合わせた小林のヘディングは、無情にも枠を越えた。今季初シュートを外した瞬間、彼はユニフォームを捲り上げ、顔を覆った。

 四半世紀ぶりとなる「無得点での5失点」という歴史的惨敗。

 川崎のサポーターからは異例とも言えるブーイングが浴びせられた。試合後、険しい表情の小林を呼び止めて、この負け方をどう受け止めるべきなのかを問うた。彼は静かな怒りを込めた口調で話した。

「これだけたくさんのサポーターが来てくれて、本当に不甲斐ない試合だった。姿勢だったり、背中のところで見せられればと思ってピッチに入りました。自分もチャンスで決められなかった。本当にあってはならないというか……。フロンターレのエンブレムを背負って戦っている身としては、本当にありえない試合だと思います」

 勝ち続けることはできない。負ける日は必ずある。

 しかし、17年もの間、このクラブで戦い続けてきた小林が、エンブレムを背負う資格を問うような厳しい言葉を試合後に残したことは、私の取材ノートのどこをめくっても見当たらなかった。

【次ページ】 残り3カ月「ギラギラした自分がいるんじゃないか」

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