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「衰えている」柳田悠岐37歳の本音…金でも選手層でもない“ソフトバンク3連覇”の決定的な理由とは? 番記者が驚いた“柳田のひと言”
text by

田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byNanae Suzuki
posted2026/09/21 06:02
「衰えてます」柳田悠岐37歳の本音とは
それは、打つための準備をやり尽くして、心も整えて、打席に立つからだ。結果を出さなきゃいけない、ではない。これまで培ってきた自分のスイングを実行するだけ。長細いバットと小さなボールが衝突するのだ。コンマ数秒、コンマ数ミリの世界。結果を自分でコントロールするのは難しいのだから、ただただ納得するスイングを心掛けるだけ。
その境地が「運」という言葉に集約されているのだ。
西武、日本ハムとの違い
長くこのチームを取材する中で、たとえば少し前の時代ならば内川聖一がやはり運という言葉を使っていたし、小久保監督は現役時代から「一瞬に生きる」という座右の銘を口にしていた。今生きているこの瞬間に全身全霊をかけて取り組んでいれば、悔いは残らないとの意味が込められており、柳田や内川が口にする「運」と通ずるものがある。そして、王貞治会長からもかつて同じような言葉を聞いた記憶もある。
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運とはまさに、常勝ソフトバンクに脈々と受け継がれる“勝者のメンタリティー”の象徴的な言葉なのではなかろうか。
今季スラッガーとして覚醒して打撃2冠王へまっしぐらの栗原陵矢に水を向けると、正直いって柳田までの境地にはたどり着いた感じではなかったものの、昨季までは「右中間に低くて強い打球を打ちたい」と話していたのが、今季は打球方向を気にしなくなったとの発言が目立つようになった。「自分のスイングをするだけ」。栗原もまた、常勝の系譜を受け継ぐための入口に立っているのだろう。強打の1番打者に定着した正木智也も「たしかに運の要素もあると思います」と頷く。
優勝マジックナンバーが、瞬く間にほどけていった9月の戦いを見ていても、ソフトバンクは大事な一戦、重要な局面であっても普段どおりの戦いが出来ているように感じた。逆にライバルチームだった西武や日本ハムは「勝たなきゃいけない」という重圧の中で痛恨のミスを犯していた。たしかに追いかける立場は難しいのだが、それでもソフトバンクとの記録や数値に残らない差を感じたのは事実だった。
チーム福岡移転後初の3連覇であり、直近10年間で5度の優勝。その圧倒的な強さの正体は何か。資金力をバックにした選手集めや戦力層、充実の設備も理由の一つではあるが、一方でカネを使っただけで勝てないのは歴史が教えてくれている。
運。
何気ない一言で片づけるべきではなく、そのたった一言にじつは強さの本質が詰まっているのではなかろうか。

