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マリニンが世界選手権3連覇、大復活のウラで…男子メダリスト“全員が反対した”ルール改定案のナゾ「まず選手の意見を聞いてほしい」声明に込めた懸念
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田村明子Akiko Tamura
photograph byGetty Images
posted2026/04/04 17:00
まさかの結果となったミラノ五輪を経て、世界選手権3連覇を達成したマリニン(米国)
「トレイルブレイザー賞」が授与されたが…
プラハのエキシビションの日に、GPファイナルでマリニンが4回転を7本成功させたことに対する「トレイルブレイザー(先駆者、開拓者)賞」という特別賞がISU(国際スケート連盟)のキム・ジェヨル会長から授与された。
「イリアはこのスポーツのトレイルブレイザーであり、偉大なチャンピオン、みんなのお手本です」とキム会長はコメントした。
だが実はこの偉業はフィギュアスケート史上最初で最後になり、二度と繰り返されることはない。来季からはISUのルール改定によって、フリーで許可されるジャンプの数が7本から6本に減らされるためだ。
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二度と演じることができないようにルールを改定しながら、「先駆者、みんなのお手本」とは、まるで皮肉のように聞こえてしまった。
男子メダリスト“全員が反対した”ルール改定案
さらに男子の記者会見で、メダリスト3人に対してISUのルール改定についてどう思うか、との質問が出た。
これまで日本の選手は、ルール改定に対して強く自分の意見を言うことはあまりなく、「選手の仕事はルールに従って滑ること」というような意見が主体だった。だがこの会見では、佐藤も鍵山も、はっきりと反対を表明した。
それというのも、ISUから出されているルール改定案は驚くほど極端な内容で、すでに来季から施行されるフリーのジャンプ数だけではない。もっとも問題視されているのが、2年後の2027/2028年シーズンからSPとフリーを廃止して、技術プログラムと芸術プログラムに分ける。そして技術プログラムではジャンプは最大4本まで。芸術プログラムはジャンプなしにするという、このスポーツを根本から揺さぶるような提案だ。
ISU側は「技術と芸術のバランスをとり観客が理解できるスポーツに」との名目をたてていて、根底にあるのは世界的なフィギュアスケートの人気の停滞、それによるスポンサー離れの懸念である。

