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「時間ありますか?」坂本花織がお菓子を配って…海外記者も「なぜ引退するのか?続ける気はない?」世界選手権で現役引退、中継には映らなかった舞台裏 

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田村明子

田村明子Akiko Tamura

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posted2026/04/01 17:05

「時間ありますか?」坂本花織がお菓子を配って…海外記者も「なぜ引退するのか?続ける気はない?」世界選手権で現役引退、中継には映らなかった舞台裏<Number Web> photograph by AFLO

世界選手権最後の演技を終え、ガッツポーズを作った坂本花織

坂本とグレンの絆「助けたいと思った時は…」

 SP、ブノワ・リショー振付「タイム・トゥ・セイ・グッバイ」をノーミスで滑り切って今季の自己ベストスコア、79.31でトップに立った。演技後にミックスゾーンに来た坂本は、「やったー!」「ほっとしました!」と彼女らしく、全身で喜びを表現した。

 この日の会見では、SP3位だったアンバー・グレンとの関係についての質問が出た。グレンはミラノで、最終結果に泣き崩れた坂本を近距離から撮影しようとしていたテレビカメラを制止して、坂本を庇ったことが話題になった。

「ライバル同士、試合前になると、接触というのはあんまりないんですけど、そういう概念を覆したのはアンバー選手。困っている人がいたら助けたいとか、今、こういう状況だから、私ができることは何だろう、っていうのを考えて、すぐに行動できる人なので」 

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「自分もそういうところは一緒……。一緒って言って良いのか分からないですけど、自分も、助けたいと思った時は、自分のことを置いておいて、助けにいきたいっていうのは、気持ち的には一緒なのかなと思うので」

坂本の言葉に、グレンは涙ぐんだ

 通訳の英訳を聞きながら、隣に座っていたグレンは涙ぐみ、「自分もそういうところは一緒」というところで、大きく何度も頷いた。

 五輪初出場の千葉百音と中井亜美に、坂本が選手村に持っていくと便利なもののリストを事前に送ったと聞いたとき、いかにも彼女らしいなと思った。特に英語が得意でもないのに、気が付くと彼女の周りに人の輪ができている。エキシビションが終わった後に、出場選手全員に号令をかけてセルフィーを撮影するのは、毎回必ず坂本だ。イリア・マリニンも、モントリオールで初めて世界選手権で優勝した時に、最初に祝福の言葉をかけてくれたのが坂本だった、と告白している。

 そんな坂本だからこそ、最後は気持ち良く最高の演技で燃焼しきってほしいと、会場にいた人々のほぼ全員が願っていたのに違いない。

【次ページ】 海外記者は思わず「もう少し続ける気はないのか?」

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