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糸谷哲郎“37歳で名人挑戦”やタイトル経験棋士の降級だけでなく“藤井聡太の師匠”が2期連続で…女流棋士と結婚後9連勝〈順位戦のドラマ〉
posted2026/03/29 06:00
永瀬拓矢九段をプレーオフで下し、名人戦挑戦権を手に入れた糸谷哲郎八段。今期順位戦も昇級・降級で明暗が分かれた
text by

田丸昇Noboru Tamaru
photograph by
Keiji Ishikawa/Hiroshi Kamaya
2025年度順位戦の全日程が3月中旬に終了した。A級プレーオフに勝って名人戦に初挑戦する糸谷哲郎八段、B級1組からC級2組までの各クラスで昇級した棋士の成績やエピソードなどを、田丸昇九段が解説する。〈棋士の段位・肩書は本文の初出以外省略〉
名人戦で藤井に挑戦の糸谷「教わる気持ちで」
【A級】
永瀬拓矢九段(33)は昨年に王将戦、名人戦、王位戦の番勝負で藤井聡太六冠(23)に挑戦。いずれも敗退したが、充実した将棋を指した。A級順位戦でも7連勝し、名人戦で再挑戦が濃厚だった。しかし8回戦で糸谷哲郎八段(37)、9回戦で佐藤天彦九段(38)に敗れた。
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そして、ともに7勝2敗の永瀬と糸谷はプレーオフで対戦した。中盤では永瀬が有利だったが、攻めの好手を逃して形勢はもつれた。糸谷は自在な指し方で頑張りぬき、141手の長手数を制して勝った。
永瀬は最終3局で1勝すれば挑戦権を得たが、まさかの3連敗だった。プレーオフの終局後に「将棋以外の総合力で、修正しきれなかった……」と語った。その真意は不明である。
糸谷八段はA級に復帰した1年目で、藤井名人への挑戦権を初めて得た。対戦成績で1勝9敗と大きく負け越していて、「教わる気持ちで指したい」と語った。しかし永瀬戦で見せた自在さを発揮すれば、十分に健闘すると思う。数字はあまり関係ない。
タイトル経験棋士が降級する厳しさ
糸谷は昨年6月、「将棋ファンの裾野を広げたい」との強い思いから将棋連盟の理事選挙に立候補して選出された。棋士と理事の「二刀流」となり、理事の仕事が増えて生活は激変した。ただAI(人工知能)で最新型を研究するのではなく、自分が面白いと思う将棋を指すことに方針を変えると、順位戦での好成績につながったという。
名人戦第1局は4月8、9日に東京都文京区「ホテル椿山荘東京」で行われる。
B級1組への降級者は、2勝7敗の中村太地八段(37)、1勝8不戦敗の渡辺明九段(41)となった。
