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WBC「実は最速だった」大谷翔平の打球速度…元日本代表スコアラーが語った“大谷の本当のスゴさ”「自分の影響力の強さを、当然わかっていて…」
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酒井俊作Shunsaku Sakai
photograph byHideki Sugiyama
posted2026/03/24 11:02
WBC初戦の台湾戦の第1打席でいきなり放った大谷翔平の二塁打は一次ラウンド最速の打球速度だったという
巨人でコーチだった井端とともに戦った志田には忘れられない昔の光景がある。
「一塁コーチを務めておられた井端さんが『このピッチャーのモーションはこうだから』とか『こういうところを見ておいてくれるかな』とか、そういう情報を持ってきてくれるんです。本来はスコアラーがコーチに情報を与えないといけないんですけど、井端さんから情報をいただくケースが多かった。そういうことをする数少ない指導者だなという印象が私にはありますね」
「井端野球」の色が見えた瞬間とは?
1次ラウンドでは開幕から3試合、捕手を替えただけで不動の顔ぶれでスタメンを組んだ。タレント軍団を擁して戦う井端は、“動かぬ将”のように映り、やはり「色」が見えにくい。そのことが「井端野球」の像をぼやけたものにしたが、一瞬だけ、指揮官が“顔”を垣間見せた場面があった。
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「井端さんが『色』を出した印象がありますよね」
志田がそう振り返るのは、8日のオーストラリア戦の土壇場である。
相手投手の緩急を生かした投球に苦戦し、7回裏の攻撃前まで1点を追う展開だった。1死一塁。ここで打順がまわってきたのは、大会中、この打席前まで11打数無安打の近藤健介である。
この打席でも一ゴロに倒れ、走者として残った。2死となったことで、勝負どころはまだ先だと読んだのだろう。井端は近藤に代走を送ることなく、そのまま塁上に立たせた。23年に本塁打王、24年に首位打者に輝いたソフトバンクの主砲だから最終盤の攻撃から外せない……そう感じたファンも多かったはずだ。
だが、8回裏、3点リードに転じて1死満塁のチャンスで打席がめぐると井端が動いた。

