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WBC侍ジャパン「井端野球」とは何だったのか? 「スモールベースボールから脱却すべき」元日本代表スコアラーが語った“日本野球の転換点”の意味
posted2026/03/24 11:01
WBC準々決勝で敗れた侍ジャパンの井端弘和監督。“井端野球”が日本に残したものとは何だったのだろうか?
text by

酒井俊作Shunsaku Sakai
photograph by
Nanae Suzuki
マイアミに再び歓喜の夜は訪れなかった。
ローンデポ・パークの一塁側ベンチ前で、青い波が揺れに揺れている。先頭打者アーチを放ったロナルド・アクーニャJr.、逆転3ランで主導権を引き寄せたウィルヤー・アブレイユ、160kmを超える剛速球を連発した守護神ダニエル・パレンシア……。
WBCの準々決勝でベネズエラに惜敗した侍ジャパンの面々は茫然と立ち尽くし、ただただ勝者が沸きかえっているのを眺めることしかできなかった。
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6度目のWBCは史上最速となるベスト8で敗退。1カ月に及ぶ道のりは波乱に満ちていた。その激闘のさなか、編集者と話していると、ふと首をかしげて言う。
「それにしても、『井端野球』って、どういう野球だったんでしょうね」
試合中にベンチで腕組みしているときも、現役時代に慣れ親しんだショートで練習を見守っているときも、侍ジャパンを率いる井端弘和監督は能面をはりつけたように無表情を装い、なにを考えているのかまるで読めない。指揮官としての「色」を出さないのだ。
元代表スコアラーが見た“井端ジャパン”
ならば、とふと思いたった。ともに戦った人に訊こう。しかも、舞台はWBCである。適役がいる。2017年大会で日本代表のスコアラーを務めた志田宗大である。
10年にヤクルトで現役引退後、そのままスコアラーに就いていた志田は侍ジャパンでも重責を担い、17年秋に行われたアジアチャンピオンシップで、新たに内野守備走塁コーチに就いた井端と同僚になった。そして、18年に巨人へ移籍すると、高橋由伸監督体制下で、内野の守備走塁担当として指導する井端とベンチで肩を並べた。
「私が言うのも失礼な話ですけど……」と志田は恐縮しつつ、当時の井端の姿を思い起こす。

