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WBC侍ジャパン「井端野球」とは何だったのか? 「スモールベースボールから脱却すべき」元日本代表スコアラーが語った“日本野球の転換点”の意味
text by

酒井俊作Shunsaku Sakai
photograph byNanae Suzuki
posted2026/03/24 11:01
WBC準々決勝で敗れた侍ジャパンの井端弘和監督。“井端野球”が日本に残したものとは何だったのだろうか?
「野球の洞察力で、スゴイものを持たれていると感じていました」
かつて井端と野球観を分かちあった者だけに通じ合うことがあるのだろう。
WBC連覇の野望こそ志半ばで途絶えたが、大会序盤は“井端らしさ”も出ていた。
開幕戦で目についた「井端野球」の片鱗
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志田が、井端さんならそうするよな、と膝を打ったのは、日本にとって開幕戦となった3月6日のチャイニーズ・タイペイ戦である。2回無死一、二塁で源田壮亮に打席がめぐってきた。先制のチャンスで8番バッター。送りバントでもいい場面である。
だが、井端はバントではなく、打ちにいかせたのだ。その初球が死球になったが、志田は手元のノートに試合のポイントとして、このシーンを書きとめた。
「あの場面、私も強攻じゃないかと思ってみていたんです。この大会、日本打線のポイントは相手に大谷選手と勝負させる状況を作ることでした。源田選手の併殺打が少ないのも強攻した理由のひとつでしょうが、バントで送るとランナーは二、三塁に進みます。次の若月(健矢)選手がどういう結果になるかわかりませんが、一塁が空けば大谷選手を歩かせられるシチュエーションになってしまう。井端さんはそこを考えていたのではないでしょうか」
志田に「井端野球」とはなにかと問うと、こう答えた。
「今回の顔ぶれをみればわかりますが、そういうメンバーを最初に編成して選んだということだろうと思います。あとは選手を信頼して送り出す。特にオフェンス面では、そんな姿勢が垣間見えますね」
そのことは開幕戦早々、源田の強攻に表れていたのだ。日本代表に参戦したメジャーリーガーは過去最多の8人。井端は群雄たちをスカウティングするなかで打ち勝つ野球を志向し、1次ラウンドで過去最多の8本塁打をマークした。

