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センバツ21世紀枠チームが“25連敗”…それでも「そこにある意義」は? 長崎西「野球の偏差値は40切っている」高知農「うちでいいの?」からの甲子園
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田口元義Genki Taguchi
photograph byJIJI PRESS
posted2026/03/22 11:03
21世紀枠で選出され敗れた高知農と長崎西
全国制覇経験者に思わず…監督「うちでいいの?」
山本は中学でチームメートだった永吉斗和を誘い、ともに高知農へ進学した。
監督からすれば心強い戦力である。しかし、下坂はふたりにこう告げた。
「本当にうちでいいの?」
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山本と永吉は「ここでやりたい」と言ってくれた。ふたりを突き動かしたもの。それこそが下坂が新たに築き上げる楽しさだった。
監督が頭を下げる。
「先輩たちが楽しく野球をする姿を見て『行きたい』と言ってくれた。もう、本当に感謝しかないですよね」
光が差したチームに導かれるように有望選手が集まり、結果が生まれる。
昨秋の高知大会準々決勝。44度の甲子園出場を誇る明徳義塾を相手に、延長タイブレークを戦う接戦を演じた。2-3で惜しくも敗れたが、この試合が21世紀枠での甲子園への大きな弾みとなったのは事実だった。
厳しさだけでは届かなかった場所。自らのスタイルを変えることで甲子園にたどり着いた下坂は、大観衆で膨れ上がった一塁側アルプスで声援を送る、「厳しき時代」の教え子たちに答え合わせを求めていた。
「俺たちの目指していた場所って、ここだよな?」
甲子園に出場する、いやこの場所を目指す全てのチームには物語がある。
長崎西と高知農。
そのことを高校野球に再認識させてくれた存在こそ、21世紀枠だったのである。

