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甲子園の風BACK NUMBER
ナゾの甲子園監督、初出場で初優勝…“広島史上最強チーム”から50年、崇徳高を復活させた重要人物とは? 元カープの伝説的OB・山崎隆造の証言
text by

井上幸太Kota Inoue
photograph byKota Inoue
posted2026/03/19 06:02
2024年に完成した崇徳(広島)野球部の専用寮
優勝メンバー・應武が母校に帰還した日
2010年に母校である早稲田大を明治神宮大会優勝に導き、新日鐵君津(現・日本製鉄かずさマジック)時代から続いた監督生活に終止符を打った。その應武が崇徳のOB会長に就任する。2012年のことだった。
應武は真っ先に練習環境の改善を訴えた。生前、「学校に“異議申し立て”をしたんですよ」と、私にも熱弁をふるっていたものである。
「こんな狭いところで練習させるなんて、私立として条件が悪すぎるよ。田舎の私立でこれは『(甲子園に)出なくていいよ』って言っているように思える。おかしいだろって」
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学校との度重なる折衝の果てに、2018年夏の広島大会終了後から應武が監督をすることになる。監督就任間もなかったころに取材へ赴くと、マネージャーと思われる部員と校庭の状況について打ち合わせていた。
「今日は(午後)6時にラグビーが終わって、そこからは全面使えます」
「サッカーはいないの?」
「サッカーとアメフトはいなくて、ラグビーが6時までです」
「じゃあ、全面使えるところからノックしよう」
夏で日没が遅く、他部が練習を早く切り上げたこの日は恵まれた方で、バックネットに向かっての打撃練習やベースランニング程度しかできない日もあった。甲子園優勝校とは思えぬ環境に、應武は憤っていた。
山崎が「その時々の理事長、校長によって考え方はそれぞれだと思うんですけど」と前置きをして、背景を語る。
「学校にある部活動が野球部だけではないのでね。バレーボール部が全国大会の常連だったり、野球部だけを特別扱いすることはできないというのが、学校の基本的な考え方だと思います」
野球部を強化すべき? 現場の反応
ラグビー部は度々「花園」に出場する強豪で、軟式野球部も全国大会常連だ。硬式野球部だけを優遇するのは学内で不公平感を生むという見立ては納得できる。
だがそれ以上に説得力があったのが、1990年代前半に卒業したあるOBの推測だった。


