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「世界のサカモトが絶望の涙」「アリサ・リュウとの違いは」イタリアの日本女子フィギュア本音評価…「芸術性」に敬意を持つからコストナーも
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弓削高志Takashi Yuge
photograph byYuge Takashi
posted2026/02/22 17:00
アリサ・リュウが金メダル、日本勢が銀・銅メダルの女子フィギュア。イタリアではどう報じられたか
「私は自分のやりたいスケートをやる。自分の好きな衣装、自分の好きな曲で滑る。そのためだけにリンクに戻ってきました」
ミラノでのフリー滑走でドナ・サマーの曲「マッカーサー・パーク」にのった彼女は、7回の3回転ジャンプを跳び、アレーナ全体を巻き込む天衣無縫のスケートで見事に金メダルを勝ち取った。
もし世界を敵に回そうが――微塵も揺るがなさそうな笑顔を浮かべたアリサに、実況アナウンサーは感服したように告げた。
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「日本勢はスピード感やジャンプの高さといった競技の本質といえる部分を伸ばし、芸術性を磨いてきました。しかし、五輪の舞台で違いを生んだのは、リュウの“個”としてのパーソナリティの強さだったようです」
コストナーのリスペクトに見える日本フィギュア
女子フィギュアは上位5人を日本とアメリカ、新旧のフィギュア勢力が分け合った。
日本のテクニックも米国のフィジカルも持ち得ない、地元イタリア代表のララ・ナキ・グットマンはメダル争いには食い込めないと予見されていた。だからこそ彼女を始めとする西欧勢は、氷上での表現力を高めて五輪に臨むスタイルを標榜している。
男子フィギュアで銀メダルを獲得した鍵山優真が師事するコーチで、元イタリア代表のカロリーナ・コストナーも表現力で勝負するタイプのスケーターだった。
彼女がバンクーバーで現役2度目の五輪に挑んだ2010年頃、女子フィギュア界の頂点にはキム・ヨナ(韓国)や浅田真央といった強大すぎるライバルたちがいた。当時、コストナーは「私は日本や韓国の選手のように跳んだり、跳ねたりのスケートはしない。別のスケートで勝負する」と母国イタリア紙に語っていたことがある。それは、彼女がフィギュアスケートの下地にあるクラシック音楽や舞踏技術という欧州文化の矜持を背負うという宣言だった。
年月が流れ、今、コストナーは日本で生き生きとコーチ業に励んでいる。

