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「世界のサカモトが絶望の涙」「アリサ・リュウとの違いは」イタリアの日本女子フィギュア本音評価…「芸術性」に敬意を持つからコストナーも
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弓削高志Takashi Yuge
photograph byYuge Takashi
posted2026/02/22 17:00
アリサ・リュウが金メダル、日本勢が銀・銅メダルの女子フィギュア。イタリアではどう報じられたか
「コンポーネントのレベルが高く、彼女のスケートには本物のクオリティがある」
「特に足首の柔らかさは素晴らしい。彼女に芸術点を与えずに誰に与えるというのか」
こう解説者たちが感嘆のため息を漏らしたほどだ。
銅メダルを獲得した中井にも「五輪初出場の17歳にして伸びやかさと堅実さを両立させている。彼女の未来は明るい」と『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙が高い評価を残した。
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五輪期間を通して、イタリア現地の解説者たちは異口同音に「日本人選手たちはスピード感とジャンプ、エレガンスを究極精緻にまとめ上げる点で比類なき存在」と絶賛してきた。それだけに、女子シングルの本命だった“世界のサカモト”がフリーの本番でポイントを落とし、金メダルを逃したことへの衝撃は大きく、現地メディアの同情を誘った。号泣する坂本の姿に、絞り出した解説者の思いが切ない。
「それでも……サカモトのまばゆいばかりのキャリアは、彼女だけのものです……」
五輪の舞台で違いを生んだのはリュウの…
試合翌日、20日の一般有力紙『コリエレ・デッラ・セーラ』は、決勝をふり返る記事をこう切り出した。
「もし、アリサ・リュウの父親アーサーが1989年に北京の天安門デモに参加せず、その後カリフォルニアに移住していなければ、米国はこの金メダルを享受できていなかっただろう」
「天安門から金メダルへ」という見出しが、新五輪女王の数奇な半生を表している。
中国移民2世のアメリカ人であるリュウの五輪制覇について、スポーツの文脈のみで語ることは困難だ。ホスト国のみならず世界中のマスメディアとしては、技術的視点よりも国際政治の切り口から快挙を伝えざるをえない。
代理母から生まれたアリサは13歳で全米選手権を制し、北京五輪に出場したものの競技生活のストレスから16歳で一度引退。しかし、一昨年に電撃復帰すると2025年の四大陸選手権で4位、世界選手権では優勝。そして今回の五輪で金メダル獲得という、あまりの波乱万丈人生。突然の引退から2年を経て、復帰した際にこう明言した。

