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フィギュアスケートPRESSBACK NUMBER
「自由奔放だった」“りくりゅう”木原龍一のシングル時代秘話…成長痛、ジャンプに悩み「しばらく休みます、と音信不通状態に」金メダルまでの紆余曲折
text by

石井宏美Hiromi Ishii
photograph byAsami Enomoto / JMPA
posted2026/02/17 17:03
感動的な演技を見せた「りくりゅう」ペア
13年にペアに転向して成瀬さんが担当を外れた後も、木原の傍らにはいつも相棒の姿があった。壊れればすぐに修理する。それを繰り返すうちに歳月を重ねていた。
だが、木原にとっては欠かせない存在ともいえる“相棒”も、2022-23シーズン前についに新調することになった。
「修理がきかなくなったようでしたね。そのときは『せっかく先生にもらったんですが新調します』とわざわざ報告もくれて。『ヘタレは卒業だね』と声をかけたんですよ」
「彼にとっては“お守り”だったのかも」
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気分を一新し、まったく新しいスーツケースを購入したのかと思えば、木原が選んだのは成瀬さんが贈ったスーツケースとまったく同じ型のものだった。
「あのスーツケースが彼にとっては“お守り”だったのかもしれないですね」
競技を続ける原動力になってきた「悔しさ」がたっぷりと詰まったスーツケースは、現在使用している2代目の“相棒”にも受け継がれている。それを見る度に木原はきっと、自らの原点と恩師への思いを力に変えてきたはずだ。
“相棒”は、シングルからペアへの転向、そして2度のカップル変更というターニングポイントをも目撃してきたのだった。〈つづく〉

