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「攻めて、攻めて、攻めまくって」鍵山優真の攻撃精神…五輪2大会連続メダルに導いたフリー直前、父・正和コーチの言葉「全部転んだとしても…」
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野口美惠Yoshie Noguchi
photograph byAsami Enomoto / JMPA
posted2026/02/17 17:48
ミラノ・コルティナ五輪のフィギュア男子シングルで2大会連続となる銀メダルを獲得した鍵山優真
「全日本選手権から1カ月で、4回転フリップが馴染むかどうか。全力で血の滲むような努力をしていかなければなりません。後悔しない練習生活を送った上で、オリンピックという舞台を全力で楽しみたいと思います」
五輪に向けた計画、そして本番でのマインドセットを、しっかりと定めた。
日本チームは1月29日に出発。ミラノ近郊での事前合宿を経て、鍵山は2月5日に五輪会場のメインリンクに降り立った。リンクの壁にも、客席にも、至るところにオリンピックシンボルが記された、4年に一度の空間。初練習では、ショートの曲かけをパーフェクトで演じ、さらに4回転フリップをクリーンに決める。会場の空気を胸いっぱいに吸い込んだ。
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「氷の感触もすごく良くて、気温もちょうど良くて、本当に心地いい環境です。音楽が乗り移る感覚があって、音楽が聞こえるというより、憑依するような、ゾーンに入ってるみたいな感じがありました」
団体戦から個人戦への力配分
その波に乗ったまま、2月7日の団体戦ショートではパーフェクトの演技を見せる。マリニンを上回り、日本の団体戦銀メダルに大きく貢献した。
団体戦ショートから、なか2日で個人戦ショートを迎える。本番までの力配分を、落ち着いて組んだ。
「団体戦の疲れはまったくないです。団体戦のあと、どうリカバリーし、どうギアを上げていくのかしっかり計画を立てていました。何時に起きて、何時に食事をしてという細かいルーティンを作り、自分のペースを大事にしながら過ごしました」
五輪は2度目。選手村での生活は、巨大な食堂のほか、さまざまなアクティビティ、そして各国の選手との交流など、通常の試合とは違うイベントが存在する。しかも子供の頃からの仲間である、佐藤駿、三浦佳生と3人で来る五輪。その中で、自分のペースを上手に作り出した。
「駿と佳生と一緒に来れることがすごく嬉しかったので、楽しむ部分は楽しんで。そして1人で落ち着くときは落ち着いて、というメリハリをつけました。食事も味の素さんが作ってくださった環境も最大限活用して、自分を最大限のコンディションに持っていきました」
ショートは「あちゃあ、という感じでした」
すべてのシミュレーションを整えた鍵山。しかし唯一、いつもの試合通りに出来ないことがあった。それは公式練習の時間だった。今回の五輪では、午前中にショートトラックの試合があり、鍵山が滑る第5グループの公式練習は夕方で、その4時間後には本番が始まる。通常の試合であれば朝に練習したあと、ホテルに戻って仮眠を取るが、今回はそのまま会場に残った。


