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「攻めて、攻めて、攻めまくって」鍵山優真の攻撃精神…五輪2大会連続メダルに導いたフリー直前、父・正和コーチの言葉「全部転んだとしても…」
posted2026/02/17 17:48
ミラノ・コルティナ五輪のフィギュア男子シングルで2大会連続となる銀メダルを獲得した鍵山優真
text by

野口美惠Yoshie Noguchi
photograph by
Asami Enomoto / JMPA
フィギュアスケート男子の表彰式を終え、銀メダルを胸に現れた鍵山優真は、決意に満ちた瞳でこう話し始めた。
「安堵の銀メダルでは、まったくありません。今日は自分のパフォーマンスにミスがでて、悔しさがすごくあります。でもその中で、フリップをしっかり4回転という形で残せた。このオリンピックの地で挑戦することが出来たのは、いろんな経験や学びがありました」
自分らしい“エースのあり方
北京五輪に続く、2大会連続での銀メダル。その重さ、意味、そして未来につなげていく価値を、鍵山はしっかりと理解していた。
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ミラノ・コルティナ五輪を目指してきた4年間で、鍵山は「考え方が変わった」と振り返る。
「4年前は先輩方の背中を見て、オリンピックという舞台を楽しみました。羽生(結弦)君と(宇野)昌磨君は大きな存在で、2人の立ち姿や行動を見て、エースは『こうあるべき』というイメージを勝手に持っていました。でも今年は、自分らしく自然体で、自分らしいエースのあり方でいるのが大事だと思えるようになったんです」
羽生、宇野が引退し、自身が日本のエースになってから感じてきた「エース像」の重圧。昨季の世界選手権は、フリーに3種類目となる4回転フリップを入れ、そのプレッシャーから他のジャンプが連鎖のように崩れた。今季の始めも、ショートに4回転フリップを入れ、試行錯誤を重ねる。しかし、従来の持ち味であるジャンプの質や演技構成点を武器にしようと、ショート、フリーとも4回転はサルコウとトウループの2種類に戻した。
イリア・マリニン(米国)がフリーで4回転7本に挑む可能性があるとしても、4回転は「2種類3本」で、質の高さで勝負する。それが、全日本選手権までの戦略だった。
鍵山のチャレンジャー精神「攻撃は最大の防御」
ただ、鍵山は新たな舵取りをする。五輪は特有の空気感がある大舞台。北京五輪を経験しているからこそ、五輪だけのメンタル設定が必要だと感じていた。
「銀メダルを守りに行くということは全く考えていません。攻めて、攻めて、攻めまくって。勝ちを求めてチャレンジャー精神でいることが大事。攻撃が最大の防御です」
五輪は、ほんの少しでも守りに入ることが許されない、究極の精神力勝負。そう感じると、フリーでの4回転フリップ投入を決意した。

