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フィギュアスケートPRESSBACK NUMBER
「金メダルの最有力候補ですね」マリニンは米国記者の質問に“首を振った”…現地記者が目撃した“マリニンの異変”、戦略を変更していた「ミラノから車で…」
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野口美惠Yoshie Noguchi
photograph byGetty Images
posted2026/02/15 17:03
フィギュアスケート男子シングルでまさかの8位に終わったマリニン
団体戦「50%しか出さない」発言の真意
本番は、直前に滑った鍵山がパーフェクトの演技で108.67点をマークする。マリニンはその演技を見ていた。
「すごく刺激を受けました。ユウマはすごく幸せそうで、一瞬一瞬を楽しんでいました」
マリニンにとって最初の五輪での演技が始まる。冒頭の4回転フリップは綺麗に決まったものの、トリプルアクセルが詰まり気味になり、4回転ルッツは回転不足に。演技を終えると舌を出した。98.00点で鍵山に次ぐ2位。珍しいミスに「プレッシャーがあったのか?」と聞かれると、肩をすぼめて答えた。
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「ここはオリンピックです。プレッシャーがあるのは当たり前。来る前から覚悟はしていました。人生には予期せぬことがたくさん起こります。今日はただ、一瞬一瞬を楽しみ心に刻み、全てに感謝をしようと考えていました」
その上で、笑顔を作って答える。
「この団体戦には実力の50%しか出さないで臨むつもりでした。ですから、理想の100%の演技ではなかったけど、自分で設定した基準は達成できたと思います」
「珍しい…」団体戦フリーで“ある予兆”
ところが、翌日の団体戦男子フリーは「50%」というわけにはいかなくなった。日本勢の活躍で、最終種目の男子フリーを前に、日本とアメリカは同ポイントながら、日本が首位。アメリカの金メダルのためには、マリニンに「絶対1位」の重責がのしかかった。
すると、ジャンプ構成は「4回転7本」には挑戦せず、「4回転5本」に落とした。個人戦に向けて体力を温存しつつ、1位を狙う、ギリギリの戦略だ。ところが演技後半の4回転ルッツで珍しいミスが出た。回転が足りずにステップアウトし、連続ジャンプに出来ない。フリーは200.03点で、期待されていた点数ではなかった。
続く佐藤駿がパーフェクトの演技を見せると、静かに得点を待つ。佐藤が194.86点で、アメリカの金メダルが決まると、ホッとした顔でチームメイトとハグを交わした。表彰式では頬をピンクに染め、金メダルを両手で包んだ。
翌9日はサブリンクで練習。表彰台が硬かった問題でブレードを研磨したため、休養を取らずに、軽めの練習でブレードを慣らした。そして、中1日で個人戦ショートを迎える。マリニンはここで日本チームとは別の戦略に出た。

