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「だろうな…って感じですね」平野歩夢もリスペクト…スノーボード・國母和宏が明かした16年前「反省してま~す」事件の真相「えーって思うほどバカじゃない」
text by

中村計Kei Nakamura
photograph byJIJI PRESS
posted2026/02/14 17:18
2010年のバンクーバー五輪で服装を巡ってバッシングを受けたスノーボードの國母和宏。喧騒の渦中で本人は何を思っていたのだろうか?
萩原は今でも納得がいかない様子でこう擁護する
「あの会見に出てたら、わかりますよ。うるせぇな、って言いたくなる気持ち。他にも選手がいるのに國母の質問ばかり。しかも悪意のある聞き方をしてくる。反省してますってセリフだって、そんなにひどくなかったよ。反省してまぁす、ぐらいでしょう?」
なぜ簡単に「平謝り」できなかったのか?
確かに活字の表現から想像されるほどの態度ではなかった。メディアの、延いては大衆の悪意が事実を捻じ曲げた、そう言ってもいい。ただ、こうも思った。最初から素直に平謝りしてしまえばよかったのでは、と。そちらの方が、遥かに楽だったはずだ。
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「でも、あそこで俺が簡単に謝ったら……日本のスノーボードは終わってた。だからあそこではああやるしかなかった。ビデオの方でも、競技でも、日本でトップでやってたので、あそこで俺が屈するっていうことは、日本の業界が屈するということだから。それは絶対にしちゃいけないと思っていた」
わからないことと、わかったことがある。腑に落ちないのは謝り方一つで“終わって”しまうというスノーボードの文化だ。わかったことは我々が無理解だったスノーボードというものに対して、彼が誰よりも真っすぐだったということ。
「……真っすぐ、うん、自分が憧れてるスノーボーダーが、すべてあの恰好に出てた。あの態度と」
ところが國母の憧れは世間に激しいハレーションを引き起こした。全日本スキー連盟の会長伊藤義郎は「大いに不愉快」と激怒し、文部科学相の川端達夫は「国を代表して参加する自覚が著しく欠けていた」とコメントを発表。國母はあわや出場を辞退させられるのではないかというところまで追い込まれたが、団長の橋本聖子の判断で最悪の結末だけは免れる。國母もファイティングポーズは解いていなかったという。
「俺は何でもやるから、とりあえず滑らせてくれと言っていて。そのために、いろんなものを犠牲にしてきたし、いいものを見せられると思っていたから」
だが決勝は2度の演技で2度とも失敗。結果は8位に終わった。
村上は「あれだけ本番に強いカズが2度続けて失敗するなんて、滅多にない。騒動の影響がまったくなかったといえば嘘になるかもしれませんね」と斟酌する。
しかし國母は気負いは感じていなかったと言う。
「調子はぜんぜんよかったので、気持ちよく滑ってましたね。負ける気もまったくしてなかったし」
強がりでないことをこの後証明することになる。
いろいろな意味で辛酸をなめた國母は10年、11年とUSオープンを連覇。この快挙によって國母の競技者としての地位は不動のものとなる。

