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フィギュア団体“アメリカの誤算”「マリニンを2回出すしかなかった」選手起用に見えた日本の強烈なプレッシャー…選手たちが明かした“日本チームの舞台裏”
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松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAsami Enomoto / JMPA
posted2026/02/09 17:33
フィギュア団体で銀メダルを獲得した日本チーム
りくりゅうが坂本花織に渡したバトン
誰もがもてる力を出してみせた。そこには吉田/森田から始まった連鎖反応と相乗効果があった。
例えば鍵山はこう語っている。
「チームジャパンが素晴らしい形で終わったので、すごく力をもらえました」
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フリーを終えた坂本はこう話した。
「自分がアップを始めた頃、(木原)龍一くんが『かおちゃんにいいバトン渡すからね』と言ってくれて、よすぎるバトンが来ました。自分もちゃんとやらないとなという気持ちになりました」
まずは自分の全力を尽くし、続く選手にバトンをよい形で渡そうと努めた。それが後続の選手たちの力となった。
2回マリニンを“起用するしかなくなった”アメリカの誤算
日本の力は、アメリカへの強烈なプレッシャーとなり、アメリカも必死に戦った。それは選手起用に表れていた。
団体戦は、個人戦に複数の選手が出場する場合、予選(ショートプログラム。アイスダンスはリズムダンス)と決勝(フリー。アイスダンスはフリーダンス)とで、2つのカテゴリーまで選手を替えられることになっている。そして団体戦の後に行われる個人戦での負担を軽くするため、特に団体戦から日程が近い種目は選手を替えることが珍しくない。
だがアメリカは、女子こそショートプログラムにアリサ・リウ、フリーにアンバー・グレンを起用したものの、残る3種目は同一の選手を起用した。
特に今大会はアイスダンスと男子が団体戦の演技から2日後に予定されているため、この2種目は、可能なら予選と決勝を分担したいところだが、アイスダンスはマディソン・チョック/エバン・ベーツ、男子はマリニンで予選・決勝を通した。日本とのポイント差、日本の選手たちの力を考え、シミュレーションした結果だっただろう。実際、マリニンを決勝のフリーでも起用しなければ、佐藤の渾身の演技を見れば、金メダルを逃した可能性は高かった。アメリカの金メダルへの執念がそこにうかがえたし、そのような起用をせざるを得なかった日本の地力の高さもまた、そこに表れている。


