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「200%やり切って…」友野一希(27歳)ミラノ・コルティナ五輪出場を逃すも現役続行を決めたワケ「オリンピックだけじゃないと自分に言い聞かせながら」
posted2026/02/04 17:00
全日本選手権で6位に終わりミラノ・コルティナ五輪への出場は叶わなかったが、現役続行を決めた友野一希(27歳)のインタビュー
text by

野口美惠Yoshie Noguchi
photograph by
Asami Enomoto
ミラノ・コルティナ五輪の男子フィギュアスケート代表争いに、友野一希(27)は自身のスケート人生をかけて臨んだ。男子3枠目の有力候補とみられていたが、全日本選手権では惜しくも6位。五輪代表には選ばれなかったものの、早くも現役続行を表明した。悲喜こもごもの五輪代表レース、そして続行へ。友野がその胸中を語った。
「今までも目の前の目標に向けて取り組んできましたけど、その中でも特に印象に残る全日本までの一年でした。過程を含めて200%やり切って、『あ、こんなにも自分は何かに対して本気になれるんだ』ということに気づくこともできましたし、普段支えてくださっている方々やファンの皆さんからたくさん声をかけていただいて。結果としては悔しいですけど、改めてスケートが好きだなと感じることができた、本当に幸せな全日本選手権だったなと思います」
今季を振り返ると、シーズン前半戦は好調に試合を進めていた。2025年9月の木下グループ杯で2位。GPシリーズも、スケートカナダ4位、スケートアメリカ3位。日本男子3枠目の最有力候補といえる位置で、最終選考の全日本選手権を迎えたことを、どう捉えていたのだろうか。
今シーズン一番悔しかったのは何か
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「自分も、(オリンピックに)行くと思っていました。結果としてはダメでしたけれど、シーズン通して『自分は行く』と自分に対して常に高め続けて、生活から何から懸けてやれたのがすごく楽しかったですね。とにかくマイナスな気持ちが出ないように『オリンピックにふさわしい選手になれるよう心がけて行動しよう』と意識する。そうすると自然に練習に対しての気持ちも強くなる。常に『トップアスリートと言える選手』をイメージしながら生活していました」
「だから」といって友野は続ける。
「今シーズン一番悔しかったのは何かと聞かれたら、不思議と、全日本ではなくスケートアメリカなんです。あの時の悔しさがあったからこそ、良い気持ちで全日本を迎えられたと言えるくらいです」
そう告白するスケートアメリカ。ショートは95.77点で首位発進。しかしフリーは8位で、総合3位となった。その時、友野の頭によぎったのは、21年ロシア杯。ショートで1位発進するも、フリーは5位で総合3位と悔しい展開となった一戦だ。
「過去に同じ状況でダメだったという(ロシア杯の)経験があったので、スケートアメリカはそれの悔しい記憶に、さらに悔しさが乗っかったという感じでした。正直、僕って試合が終わったら『まあ仕方ない、次頑張ろう』みたいに思えるタイプ。ただスケートアメリカに関しては、演技が終わった後も、表彰式の時もまだ涙が止まらなくて、メダルをいただいているのに嬉しくない。これだけ人前で涙を流してどうしたら良いか分からなくなったのは、初めての経験でした」
「感情を出すこともすごく大事」と学べた
スケートアメリカで悔しい3位を経験し、いつもとは違う自分に気づくこともできた。


